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       (531.5m)

見た目にはあまり特徴がない崖山

 1/25000地形図「中愛別山」

尾根末端付近に車を停める
マタルクシ愛別川は長靴でも十分に渡れる

崖山という名の山は以前に日高町で登っているが、今回は盟友であるKo玉氏から聞いていた愛別町の崖山である。高さは531mと札幌・藻岩山と同じだが、取付き地点の標高が既に300mを超えているために標高差が200m程度と少なく、体力的なところで言えばJRタワーに階段で登るようなものである。山容は読んで字の如くで、道道からは特徴的な崖面を覗かせている。ルートとしてはKo玉氏から聞いていた北側・尾根末端から細い稜線をたどるのが良さそうだ。というのも、この手の山は下手なところから登ると岩壁に行く手を阻まれることも考えられるからである。

尾根末端への取付きが一番きつい

林道から尾根末端へは籔斜面を下り、水量の少ないマタルクシ愛別川を渡る。特に雨後でもなければ長靴でも十分に渡渉可能である。この日はあいにくの霧雨であるが、こんな日でも気軽に登ることができるのもこの山の良さで、特に道東方面への移動途中の一山としては重宝な存在と言えよう。尾根末端の取付きが一番急な登りで、潅木につかまりながら慎重に登る。ある程度登ってしまえばこの傾斜も落ち着く。

頂上へは少し下って、さらに先の小高くなった高みへと登って行く。小さい山なのにいくつかのアップダウンが繰り返される。林道から頂上までの歩行距離が700m程度と短いこともあって、ついつい組し易しと思い込んでしまうのか、この距離が意外と長く感じられる。日高の縦走にでも出かけるつもりで入っていれば、最初の林道歩きにも満たない状態で終了となるところだが、地形図の必要部分がカードサイズとあってはそんな気分にもなれない。頂上までの途中一ヶ所、わずか数メートルではあるが、つかまる潅木もないかなり細い岩稜上の通過となるが、突風でも吹かなければ問題はない。ただし、高所恐怖症を自認している御仁であれば、ここの通過はちょっと辛いかもしれない。頂上には三等三角点「崖山」が埋まっていて、さてさてやっと一息といったところだ。眺望は於鬼頭岳と思われるピークが頭を覗かせているが、木々に邪魔されてすっきりとはしない。ここよりは途中の岩稜上の方が眺望は良い。

三等三角点「崖山」と金麦
わずか数メートルだが、掴むものがない岩稜上 三等三角点「崖山」と金麦

下りだが、そのまま登ってきたルートを下るのも芸がなく、東側の笹薮を漕いでコルまで進み、そこから小沢を利用して林道へと戻ることにする。最初は薄く見えた笹薮だが、途中からは普通の笹薮となり、ちょっとだけ後悔。しかし、決して臆病風が吹いた訳ではないが、仮にあの岩稜を通過して何か不測の事態が起こってしまったと考えれば、この籔の中にいる幸せを感じることは容易に出来る。何事も考えようである。笹原の向うには先ほど歩いた岩稜が見えるが、こちらから見る限りでは落差があまりないためか、迫力は今ひとつといった感じである。

緩い笹原斜面を下って、小沢へと下る。私のスパイク長靴は昨年に購入したもの。最初の渡渉で水が滲みてきたことを考えれば、すでに劣化しているようで、あまり沢へは入りたくなかったというのが正直なところ。たかだか2000円程度のこの道具、優れた機能性を考えれば一年に一足履き潰しても決して惜しいものではない。できればこんな時期に足を濡らしたくはないが、今さら後悔しても仕方がない。再び湿ってきた足先を気にしながらも小沢から最初に通過したマタルクシ愛別川へと飛び出す。

西興部村の拳骨山への途中で立ち寄った小さな山であったが、規模の割には十分に楽しむことができた。一般的に山登りの面白さとして、変化に富んだ登り、すっきりとした眺望、そして少しの緊張感といったところが重要な要素となる。そんな意味でこの山は、コンパクトな規模の中にもそのどれもが見事に満たされている一山と思えた。(2011.11.5)

【参考コースタイム】 林道・駐車地点(尾根末端付近) 10:25 → 崖山頂上 11:10、〃発 11:25 → 林道・駐車地点(尾根末端付近) 12:05  (登り 45分、下り 40分)

  【メンバー山遊人さん、saijyo、チロロ2、チロロ3(旧姓naga)

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