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  藤野富士(651m)

藤野聖山園にマッチする藤野富士

/25000地形図「石 山」

霊園の一番高いところに車を停める

札幌の民間霊園の一つ「藤野聖山園」の裏山といえるのがこの藤野富士であり、雪が固まる春先によくハイカーに登られている山である。札幌近郊のスノーハイキングの場としては、所要時間、アプローチとも格好の一山といえる。藤野富士の名は最近の登山ブームでよく耳にするようになったが、この山が藤野富士だという認識で眺めたのは、私にとって今回が始めてである。以前から木材の切り出しなどが行われ、地元の里山としていろいろな名称で呼ばれ親しまれていたようであるが、今はこの名が定着しているようだ。なるほど聖山園の案内所から眺める姿は綺麗な富士形となっており、この霊園は造成の段階からこの山も含めてデザインされたと推測される。

今回は中標津・すがわら氏の札幌への来訪に合わせてこの山を計画する。天候は台風を二つ吸収したという発達中の低気圧が北海道付近に停滞するといった最悪の状況であるが、霊園付近に関していえば小雨模様程度で里山登山にはさほど問題はなさそうである。

頂上は藪の中

傾斜のある墓苑内は各所に駐車スペースが設けられており、地形図上の歩道に近い最上部のスペースに車を置かせてもらう。藤野富士への歩道入口付近では新たな墓所の造成が行われている。造成地点を過ぎると直ぐに歩道は荒れて藪漕ぎ状態となってしまったため、沢形へ入り頂上を目指すことにする。沢形も直ぐに藪斜面となるが、季節的なものもあってかなり薄い。墓所から直接の藪突入も考えたが、小雨の中ではさすがにそんな気にもならず、自然な形での藪入りはまずまずといえる。

途中から尾根へ上がり、南側から回り込む形で頂上を目指す。低山でもあり、直ぐ先に頂上があるように感じられるが、行けども行けども頂上が逃げて行くようである。さらに遠くでは雷鳴が轟き始め、そんな想いに追い討ちをかける。651mの低山という意識が頭から離れず、頂上には直ぐに到達できるものといった山行イメージが逆に頂上を遠くしてしまったようである。結果的に午前中のうちに無事山行を終了していることを考えれば、それほどのことはなかった。いつも山行を共にしているメンバーの体調が悪いのかと思っていたが、実は自分の気持の方が逸っていたようである。

頂上は藪の中である。樹木の高い位置にはピンクテープが結ばれていて妙な感じがする。誰も好き好んでこの時期に木登りで標識を付けるわけがなく、積雪で藪が隠される3〜4月あたりに結ばれたようで、登山者にとってはこの時期がこの山の旬となっているようだ。雷鳴の方向へ戻ることはさすがに躊躇され、頂上からは墓苑内の駐車地点へ向けて往路とは逆方向の藪への再突入である。西側へ下るのを避ける気持からか、つい東方向へ寄ってしまいがちであるが、そのつどコンパスを頻繁に見ているすがわら氏から修正が入る。修正に修正が加わり、結果的にはピンポイントといえる範囲内で往路の歩道へ飛び出す。

 下山後に立寄った豊平峡温泉の帰り道、突風で倒れた樹木が一本、道路を塞いでいた。一昨年の台風18号通過直後を思わせる光景であるが、札幌近郊では午後から風が強まった程度である。道東や太平洋岸を中心に大荒れとなったが、すがわら氏は無事に中標津へ帰着とのこと。ともあれ、秋のこの時期、藪に覆われる藤野富士もこの山の一つ顔であり、あまり覗けない別の顔に出会えたことについて、十分に満足できる山行であった。(2006.10.8)

【参考コースタイム】 藤野聖山園P 9:20 →  藤野富士頂上 10:20 →  藤野聖山園P 10:55 

メンバー】中標津・すがわら氏、saijyo、チロロ2

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