<戻る

      富良野西岳(1331.1m)

初冠雪の富良野西岳(2007.11.5撮影)

1/25000地形図部岳」

ホテル第三駐車場の端に車を停めさせてもらう
苔生して趣のある沢コース
頂上直下から頂上を望む
頂上直下から頂上を望む

富良野西岳はワールドカップで有名な富良野スキー場の直ぐとなりに位置する意外に険しい山で、南北に長く、東西に薄い山である。以前に上富良野町・日の出公園からこの山を眺めたが、東斜面は90°以上にも見え、ひときわ尖って見えた記憶がある。山岳部で活動する息子が夏休みということで、大学に近いこの山へ息子の友人であるAkagさん共々目指すことになる。

富良野西岳頂上にて
富良野西岳頂上に到着

駐車スペースは登山口のホテル駐車場を使わせてもらうが、リゾート型のホテルなのか、大型バスが頻繁に到着し、一帯はかなりの賑わいを見せている。さすがに客が利用する駐車場は気が引けてしまい、従業員用駐車場の端に車を停めさせてもらう。好対照なのが富良野西岳への登山道である。砂防ダム横の入山者ポストで名簿を見てみるが、最後に記載された月日が729日とあり、今日85日までの間の入山者はだれもいなかったようだ。ガイドブックに登場する山であり、けっこうな賑わいを予想していただけに、何とも意外であった。このルート、Web上にて入山前に調べてみたところ、ヒグマと遭遇したという山行記が載っていたが、こんな情報も多少は影響しているのかもしれない。つい最近、軽井沢の市街地にツキノワグマが出没するといったニュースを目にしたが、人間社会が彼らの生態系に微妙に影響しているそうだ。そういった意味では、リゾート地に至近距離であるこの登山道に、頻繁にヒグマが出没しても決して不思議ではなさそうだ。

賑わいをよそに静かな樹林帯に続く登山道は心地よく、雨上がりということもあって、霧の合間に時折のぞく北ノ峰・東壁が深山幽谷といった雰囲気を作り出している。登山道は渡渉を繰り返しながら徐々に標高を上げて行くが、靴を濡らさぬよう歩いていたのでは埒が明かない。最初から流れの中へ入ろうと思っている方が、はるかに楽である。上流部へ進むと登山道は荒れ気味となり、行き過ぎたのではないかと少々不安になるが「仙人の泉」の看板を見て、ほっと一息といったところだ。ピンクテープはいたる所に垂れ下がっているが、だれが付けたか判らない以上は道標とはならず、むしろ景観を汚すこういったものは残さぬ方が良いだろう。沢沿いの登山道は、よほど頻繁に整備でもしなければ、やがては消えてしまう運命にある。

富良野西岳からの芦別岳方面の展望(夕張中岳とシューパロ岳にはガスがかかる)

948m標高点のある尾根に取り付くと道は明瞭になる。北斜面ということで遅くまで雪渓が残っていたのか、雨上がり後の緑は透き通るようで、空気まで澄んでいる感じがする。ジグザグを繰り返しながら一気に標高を上げると、やがて道が真っ直ぐになり稜線上となる。さすがにここまで登ると夏本番といった様子となり、名は判らないが夏山でよく見かける黄色い花が目立ち始める。一息つくとハエを一回りも二周りも大きくしたような、一見スズメバチかと思えそうなブヨの襲撃に遭い、あまりのんびりとはしていられない。やはり八月の山といったところであろうか。左側(富良野側)がスッパリと切れ落ちた痩せ尾根を通過、正面に岸壁をまとった頂上が姿を現す。

頂上には先客がいて、ゴンドラを使って北ノ峰スキー場から登ってきたとのことである。今はこちらのコースの方が一般的なのかもしれない。この山の東斜面から雲が湧き出していて、富良野平野はじめ大雪方面の山々は瞬時ではあるが十勝岳が頭を覗かせるだけだ。一方、西側は雲一つなく正に台風一過といった感じで、芦別岳や夕張・中岳などの鋭峰が雲間から顔を出し、夕張山地内の山々については良く望むことができる。そうこうしているうちに、P山の会の面々が到着する。後続がいたのには驚くが、山岳会パーティであれば軽くハイキングといったところであろう。

帰路は北ノ峰スキー場コースをとることにする。目的はもちろん北ノ峰の頂上を踏むことである。登山道が頂上をかすめているが、ここが頂上といった場所も標識も見当たらない。一番頂上に近いところまで登山道を歩き、約30mの軽いやぶ漕ぎで地形図上の1084m標高点に到着する。北ノ峰の頂上ともいうべきこの地点、藪の中で見晴らしは良くないが、先ほど踏んだ富良野西岳のみが木々の間に小高く見える。世界的に有名な富良野スキー場の頂点とも言うべき北ノ峰頂上は、意外なほど静かで目立たぬ藪の中にあった。 (2007.8.5)

【参考コースタイム】 富良野プリンスホテルP 725 富良野西岳頂上 10:45 、〃発 11:30 北ノ峰頂上 12:10 →   富良野プリンスホテルP 1350  (上り3時間20分、下り2時間20分)

  【メンバーsaijyo、Akagさん、saijyo.Jr

<最初へ戻る