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 富士形山(637.8m)

登りの途中で、百々瀬氏と登った懐かしい富士形山が姿を現す
壮志岳から望む富士形山

   /25000地形図  「吉野」 

除雪して駐車スペースを確保
富士形山へと向かう
富士形山頂上に到着

   “富士”の名が付く山名は実に多いが、この富士形山は頂上周辺が平らで疎林となっているため雪が着くと富士に見えることからの命名であろう。標高は637mと低いが、吉野地区から見れば立派な “富士形”である。今回は「気軽に北の山」の著者である、百々瀬満氏の誘いで、この山に同行することになった。超マニアックと言われればその通りであるが、氏の数多い山行歴の中からの誘いであり、こんな機会でもなければ絶対訪れることはないだろうと思う。低山ではあるが増毛山地周辺は豪雪地帯であり、距離もあるため、この時期はかなりきついラッセルを強いられる。

 吉野から入り、ワッカウエンベツ川沿いの道を進む。この川の上流には貯水池があるためか、除雪されているのはラッキーである。この道の途中で駐車スペースを除雪し車を置く。道路からいきなり真西にむけて取り付くが富士形山は遠くに見える。双方の力量が分からない状況では百々瀬氏も単独行と同様だったのか、先頭に立ちヒグマのように進んで行く。氏の馬力には力の差をつくづく感じさせられる。大抵はある程度進めば衰えてくるものだが、衰えるどころか、二番手が追いつかない状態である。やはり単独行を長年やってきた人間は筋金入なのであろう。280mの丘の南側を巻き、富士形山とのコルを少しずつ下って行く。途中ラッセルを少しだけ代わるが、氏のペースでラッセルすると直ぐに息が切れ、とても長くは続けられない。コルからは.421への急登である。針葉樹林帯の中、氏を先頭にぐんぐん標高を上げて行く。.421まで登ると徳富岳の大きな姿が見えてくる。行く手には目標としていた送電線が見えてきて、富士形山の頂上が近いことを確認する。相変わらずの重い雪質であり、なかなか頂上には近づけない。それでも左側に大きく廻り込む頃から、頂上までもう一息であることを実感する。結局、予想より速い約3時間で頂上に到達する。最初に頂上を眺めた時の距離感から考えると、かなり速い。いつもより速いラッセルが自分達の感覚を麻痺させてしまったのかもしれない。しかしこれが百々瀬氏の普通の山行であるのだから、やはりすごい!!   残念なことに頂上からは薄曇りのため、期待していた山岳展望を楽しむことは出来なかった。

徳富岳は大きく見える 百々瀬満氏(富士形山頂上にて)

下りはルートを変え南斜面を下降して林道を目指し、そこから橋まで歩くことにする。南斜面ではスキーを楽しむが、相変わらずの重い雪質であり、思った程スキーは走らない。氏独特の沢下降のルートであり、ヒグマのように小尾根を横断する。樹林帯を歩くようなルート取りであったが、スノートレッッキングのようにゆったりとし、天候が良かったこともあって楽しんで歩けた。今後下降時の選択肢の一つとして参考にしたい。林道に出ても全くスキーは滑らず先頭は深雪のラッセルである。山行中は晴れていた天候が崩れ出し、雪が舞うなか黙々と歩いて車道に到着した。

「気軽に北の山」を読んだ時、どこが気軽なんだろう?と思った読者は多いのではないかと思う。しかし重い深雪のラッセルを何とも気軽にこなしている著者を見て、十分に頷ける気がした。山を真に楽しむためには、こうあるべきだとの思いがした。(2003.1.12)

【参考コースタイム】 駐車地点(登山開始地点) 9:07 →標高421m地点 11:16 → 富士形山頂上 12:06 、〃発 12:26 → 林道 13:18 → 駐車地点(登山開始地点) 15:13 

  【メンバー】L.百々瀬 満さん、nakasizukaさん、saijyo、チロロ2  

 

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