烏帽子岳(1109.7m)
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1/25000地形図「定山渓」「手稲山」
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第一展望台に車を停める |
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尾根上に群生するアイヌネギ |
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夏期よりも3〜4mは高くなった頂上 |
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10m以上はありそうな、地形図に現れない岩峰 |
道内に三山ある烏帽子岳のうち、定山渓の烏帽子岳は以前から多くの登山者に親しまれ、三山の中では最も登られている山である。隣の神威岳までは古くから登山道があり、以前であれば神威岳より先は途切れそうな踏み跡を藪をかき分けながら登ったが、登山ブームの影響か現在ではこの踏み跡もしっかりと刈り分けられ、登山道となっている。この付近(道道1号・小樽〜定山渓線と国道230号・札幌〜虻田線に挟まれた地域)では1100mを越える唯一の山であり、神威岳まで登った登山者は背後に大きく見えるこの山を登ることによって、より征服感を満足させることができるようだ。札幌・中心部からは百松沢山の陰に隠れて望むことはできないが、都心部から離れさえすれば容易に確認することができる。また、中山峠から札幌に車を走らせ、定山渓が近づいてくるころに見るこの山は、温泉街の背後に迫力ある姿で迫ってくる。東西に細長く、中央部が小高くなっているバランスのよい“烏帽子”は気品もあり、三山のなかでは少々官位が高い烏帽子と言えるかもしれない。
今回は残雪期でもあり、神威岳からの登山道は使わず、札幌湖側の木挽沢林道からのアプローチである。右岸側の適当な尾根から取付き、烏帽子岳の西側の尾根を辿って頂上部西端へ向うルートで登頂を考える。コンタを見る限りでは一番取付きやすそうな感じの尾根を目指し、札幌湖の第一展望台から木挽沢林道へ入る。今年は雪解けが遅いためか、5月の連休を過ぎても林道上は雪渓歩きである。1.5qほど進むと予定の尾根取付き地点となり、ここから樹林帯へ入る。直ぐに古い集材路を通過するが、そのまま雪渓のある尾根上にルートをとる。地形図で受けた印象とは違って、徐々に傾斜が増しているようにも感じられ、読図を間違ったのかと不安になる。さらに登ると予想もしていなかった岩峰が上部に現れ驚かされる。コンタを読む限りでは一番簡単そうに感じられた尾根であり、いつも地形図を頼りに山を登っている私としては何とも裏切られた思いである。コンタは10m毎なので10m以下のものは載っていないのかもしれないが、地形図から読み取れる印象とは全く違う。後でよく見ると一ヶ所、コンタがくっついているところがあり、ここを見落としてしまったようだ。木々につかまり、凹部からこれを登りきると岩峰の頂上に飛び出す。直ぐに下降となるが、かなりの急斜面である。先々を考えるとロープは必携のようであるが、あいにく今回は持ってきていない。さらに尾根上を進むと先々が岩稜となっているようにも見え、ロープがない状態ではこれ以上進むのは危険と判断、無理はせずに山行を中止とする。
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頂上部西端の岩壁 |
往路の岩峰越えは避けることとし、傾斜の緩そうな斜面を下って行くと意外なことに沢に沿って上がって行く集材路に出る。途切れそうではあるが、上部の斜面を横切るように付けられていて、稜線付近までは延びているようである。時間が早いこともあり、この集材路を辿ってみることにする。現在は使われていないのか、途中所々で斜面と同化しているが、よく見ればつながる部分が容易に見つけられる。確認できるところをつないで稜線付近まで登り、最後は斜面を直登して稜線上に飛び出す。稜線の南側にはかなりの雪渓が残っており、この雪渓上を歩いて行けそうだ。場所によっては分厚い雪渓が横滑りしそうにも感じられるが、この時期のものは見た目よりはかなり安定している。今年の札幌は記録的な大雪と言われているが、確かに吹き溜まったところではかなり分厚く堆積している。しかし、そうでないところでは既に藪が顔を出し、いつもと変わらぬ春があり、アイヌネギの群生も見られる。残雪の量と植物の成長はあまり関係ないようだ。
コンタ970mで、地形図上で最も難所と思われた、頂上部西端の岩壁が現れる。ここは最初から頭の中では折込み済みだったこともあり、冷静にルートを検討する。岩壁の樹木を伝って上部へ抜けることもできそうに見えるが、左側の斜面へ逃げる方が無難のようだ。斜面に入ると急傾斜ではあるが、キックステップで簡単にクリアすることができた。北側の雪渓を登りつめ、15年ぶりの烏帽子岳頂上に到着する。前回は神威岳から藪漕ぎで登ったこともあり、頂上は全くの藪の中で、どこが頂上なのかははっきりとしなかったが、テープの巻かれた枝を辛うじて確認している。今回は見通しも良く、一番高い地点をはっきりと確認することができた。ただし、雪渓が少なくても3〜4mは積み重なっており、標高も少し割り増しされているようである。一瞬、雲の切れ間から札幌岳が顔を出すが、晴れていれば割り増しされた分だけ頂上からの眺めは素晴らしかったかもしれない。(2005.5.8)
【参考コースタイム】 第一展望台 9:05 → 尾根取付き地点 9:35 → 引き返し 10:30 → 稜線 11:40 → 烏帽子岳頂上 13:25、〃発 13:50 → 尾根取付き地点 15:20 → 第一展望台 15:55
【メンバー】saijyo、チロロ2