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  岱岳(1060.6m)

恵岱岳は台地状の大きな山である

/25000地形図  「国領」

峠の待避所に車を止める
正面の尾根に取付く
取付きはツボで登る

恵岱岳は暑寒別岳の派生尾根の一ピークであり、雨竜沼湿原の縁に過ぎない山であるが、恵岱別川側から見ると「岳」と呼ぶに相応しい険しさがある。北空知の平野からは白く平らで特徴的な姿を望むことができ、スキー登山の山としては大いに魅力的である。単にピークを踏むことだけを目的とするのであれば、無雪期に雨竜沼側から登ることも考えられるが、藪に覆われた状態ではどこが頂上か特定することは困難であろう。南暑寒荘までの除雪が無い冬期であれば、今回のルートである道道95号の御料峠からの方が登りやすく、スキーも楽しむことができる。ただし、こちらは恵岱別川の渡渉があり、これがネックとなっている。今回は渡渉することを前提に、渡渉の準備をしての計画であったが、時期的にはちょうど良かったのかスノーブリッヂが十分に発達した状態であった。

恵岱岳から見た信砂岳と日本海

御料峠付近の林道入口がある急カーブには車を止めることができないため、少し先にある峠の待避所に車を止める。ここはスノーモビルのグループも日常的に利用しているのか、下山後には車で埋まっていた。ここから恵岱別川沿いの平地を川への下降地点である394m標高点へ向かって進む。予定ではここで川を渡渉し、819m標高点をめざし、そこからトラバース気味に頂上台地南東の肩へ抜ける計画であった。途中には以前に恵岱岳を目指した登山者が残したものなのか、ピンクテープも見られる。直接肩へ抜けるルートも選択肢の一つとして考えていたため、途中の359m標高点付近から恵岱別川へ降りてルートを探ってみることにする。尾根取付きを見た感じでは地形図上で考えていたよりは易しそうであり、それさえクリアできれば後は一番短く楽なアプローチであるため、さらに可能性を探ってみることにする。

沢への下降は思ってもいなかった作業道があり、簡単に河原まで下ることが出来る。計画段階では困難と考えていた沢の渡渉も積雪のために全く容易であり、尾根取り付きまでは難なく到着する。取付きは思っていた通りの急斜面であり、スキーではとても登れそうにない。沢を更に遡ることも考えるが、沢形は狭く急峻であり左右両岸からの落雪や沢中の落し穴等も考えられる。とりあえず当初の計画を変更し、スキーを杖代わりにしてつぼ足で登ることにする。まとまった量の降雪後であれば間違いなく雪崩れる斜面であるが、雪面が落ち着いた状態では意外に簡単に取付くことができる。一歩一歩階段を上るように登り、約10mも登ると傾斜は徐々に緩くなる。尾根上にはダケカンバの見事な巨木があり驚かされる。取付き付近を突破するとスキーを使えるくらいの傾斜となり481m標高点までは細かくジグを切って登る。481m標高点が近づくあたりで進路を右寄りに取り、トラバース気味に標高点をかわす。

頂上は平らで、どこがピークかははっきりと判らない 恵岱岳から暑寒別岳と南暑寒岳を望む

コルから773m標高点のあるコブまでは緩く広い斜面である。尾根上を忠実に辿ると773mのコブが眼前に現れ、そのまま登ってしまいそうになるが、ここは左側から巻く方がはるかに楽である。ここを巻き徐々に標高を上げると、頂上台地の肩へ向かう最後の急斜面となる。大きくジグを切って登れば肩までは意外に近い。頂上台地の北東斜面は樹木の密度が薄く、降雪後や不安定な積雪状態の時であれば雪崩れる可能性は十分に考えられる。現に雪庇も発達しており、頂上直下付近の斜面には表層雪崩の痕跡も見られる。恵岱別川からのルートの中では我々の登ったルートが比較的安全かもしれない。南東側のコンタ950mの肩へ飛び出すと頂上台地までは一息である。振り返ると視界を遮るものは何もなく、低い山並みの向こうには北空知の平野が広がり、遠く大雪や十勝、夕張、天塩の山々も望むことができる。

 頂上台地へ上がると全くと言って良いほど傾斜はない。どこが頂上かは判らず、とにかく“平地”を北西方向へ進むことにする。遠くに見える水平線と進行方向の雪面を比較するが、頂上の特定は難しい。強いて判断材料を探すとすれば、地形図上の距離と実際に歩いて感じる距離感とを比較するくらいである。ただし、進んだ斜面が何となく下りだしたことにより、すでに最高地点は通過したものと判断できる。頂上付近からは残念ながら期待していた雨竜沼湿原を確認することはできないが、暑寒別岳と南暑寒岳は湿原から見るのとほぼ同じ姿で見ることが出来る。また、日本海に白く輝く天売・焼尻の島影が印象的である。

 下りは恵岱別川からの約70mの登り返しを考え、シールを貼ったままの滑降である。肩から773mのコブまでの斜面は傾斜も雪質も言うことなしの状態であり、美味しい斜面を逃したことについては何とも悔やまれる。(2004.3.7)

【参考コースタイム】 御料峠・待避場 7:30 → 尾根取付 8:10 → 719mコブ付近 10:10 → 恵岱岳頂上 11:45、〃発 12:10 → 尾根取付 13:15 → 御料峠・待避場 14:10

メンバー saijyo、ko玉、チロロ2

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