エサオマントッタベツ岳
(1902m)
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1/25000地形図 「札内岳」「札内川上流」「幌尻岳」「イドンナップ」
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ナメワッカ岳は遠い |
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神威北東尾根取り付きまで雪は無い |
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途中までは造材路跡を利用 |
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エサオマントッタベツ岳への登りから日高幌尻岳 |
今回は日高の主だった山々を望むことが出来る、人気のコースを辿ってみた。このコースは、無雪期には沢の遡行によってしか踏むことの出来ない神威岳(北)やエサオマントッタベツ岳のピークを意外に簡単に踏むことが出来る。しかしGWには多くの登山者で賑わい、ルート上の雪面には踏み跡が登山道のように付いているため、ルートを自分で探し出す楽しさはほとんどない。また、この時期の朝夕は雪面も固く締まるため、アイゼン歩行の経験くらいは必要である。
今回はナメワッカ岳を目指したが、停滞のための時間切れで果すことが出来なかった。計画は神威北東尾根を上がり、主稜線上をエサオマントッタベツ岳からナメワッカ分岐まで進み、ナメワッカ岳へ向かう予定だった。例年であれば積雪のために、神威北東尾根取り付きまで車が入れることは稀だそうだ。その意味では今年はラッキーなのだが、少ない雪は尾根上にも影響し、季節はずれの藪こぎを強いられることになる。
北東尾根取り付きには全く雪が無いので、トッタベツ川の林道を400〜500m進み、左側の踏み跡に入ると古い造材路跡へと続く。あとは赤布やピンクテープに沿って進んで行く。一見わかりずらいが、北東尾根の位置さえ頭に入れておけば迷うことはない。造材路跡には親子のものと思われる、わりと新しいヒグマの足跡があった。
尾根上に入ると踏み跡がはっきりしてくる。残雪の位置は毎年同じなので、残雪の無い所は踏み跡がはっきりしているそうだ。.1488mまでは単調な登りであるが、.1488mを越えると視界が開け、エサオマントッタベツ岳が見えてくる。ここから神威岳の肩までは、肩直下が急なくらいで、あとは緩い斜面となっている。この時期の日高の稜線歩きはほとんどが雪庇歩きである。落ちるべき雪庇はだいたい落ちているので、心配なくその上を歩くことが出来ると言われている。確かに見た感じでは、外側から亀裂が走り、順番に崩れているようで、踏跡のある内側は安定しているのかもしれない。しかし通過する雪庇の安全性くらいは自分で確認したいものだ。
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エサオマントッタベツ岳と神威岳、ピパイロ岳 | 主稜線からカムイエクウチカウシ山 |
肩に戻り、エサオマントッタベツ岳を目指す。所々雪庇が途切れ踏み跡へ逃れる。明瞭化してきたとは言え、藪がうるさいところは如何にも日高らしい。.1563mと.1604mとの間のコルをC1とするが、ここには続けて3泊することになる。翌日は明け方から風雨となり、1日停滞する。今回はエサオマントッタベツ岳だけにして早々の下山も考えるが、次回の山行につなげることを考え、とりあえずナメワッカを目指すことにする。
3日目は風が強いが天気は回復する。C1からも雪庇上の歩行は続く。コース全体を通して言えば、夏山登山のような単調な尾根歩きである。エサオマントッタベツ岳への登りの瘠尾根は樹木もしっかりあり、何も危険はない。エサオマンの肩からは踏み跡を辿ると自然にエサオマントッタベツ岳の頂上に到達する。札内分岐まではただ踏み跡を辿る。札内分岐からは明瞭な踏み跡があると聞いていたが、エサオマン〜神威岳間とさほど変らないような気がする。雪庇はわりとしっかり残っており、快適に.1760mまで進む。ここから左側がスッパリ切れ落ちたナメワッカ分岐へ向かうが、時間配分を考えると、札内分岐からナメワッカ分岐までは2時間しか取れず、厳しくなる。ナメワッカ分岐への登りは踏み跡がしっかりしていた。分岐手前で時間切れとなる。分岐からの稜線上もかなりの藪こぎが予想されることと、テントまで戻るには時間的に厳しくなったことによる。ナメワッカ岳は奥深い山ではあるが、この時期に例年並の残雪さえあれば登頂は容易だろう。
最終日、降雪の向こうにすっかり緑の濃くなった十勝平野が広がっていた。私にとって初めてのGW山行は正に季節のはざまを感じさせてくれる山旅であった。
【参考コースタイム】5/3
神威北東尾根取り付き7:30
→ .1129m 9:36 → 神威の肩12:17 → 神威岳
12:50 →神威の肩13:18 → .1490mコル(C1) 15:30
5/4
1日停滞 5/5 .1490mコル(C1)
5:37 →エサオマンの肩 7:28 → エサオマントッタベツ岳 7:36
→札内分岐 8:13 → ナメワッカ分岐手前 10:15 →札内分岐 12:40
→ エサオマントッタベツ岳 13:25 .1490mコル(C1) 14:40
5/6
.1490mコル(C1) 5:33 → 神威の肩7:04 → 神威北東尾根取り付き9:40
【メンバー】saijyo、チロロ2