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   サワンチサップ(520m)

川湯温泉の「大鵬相撲記念館」とサワンチサップ

1/25000地形図 「川 湯」

林業多目的センター駐車場に車を置かせてもらう
ポンポン山に到着 地面からは水蒸気が上がる
稜線に出ると藻琴山が見える

 昨年の正月山行で登り残してしまったサワンチサップだが、正月山行の話が出る度ごとに、いつも話題となっていた山である。この山の山名由来は「帽子山」らしい。和名で表現したなら烏帽子山といったところか。四方が急斜面に囲まれており、地形図からはその弱点は見抜けない。とりあえずは、現地に行ってからの臨機応変な判断となろう。前日の猫山で、少々疲れてしまったこともあって、いくつかの候補の中からの2山目は、わりと容易と思われるサワンチサップに決まる。この時期として、一番困ることと言えば、やはり駐車スペースの問題で、Ikkoさんによれば、サワンチマップの集落からはポンポン山への遊歩道があり、その入口付近に駐車できるだろうとのこと。 

 付近を捜したところ「林業多目的センター」の駐車場があり、ここに車を止めさせてもらう。一台、職員と思われる車が止まっていたが、公共施設でもあり、言われたら素直に登山の旨を伝えればよい。ポンポン山への遊歩道は積雪に隠れているが、この遊歩道に沿ってスノーシューのトレースが続いている。おそらく、ポンポン山までは続いているのだろう。ちなみにこのポンポン山は地形図にも載っていて、その山頂を探してみたが、どうやらポンポン山というのは、地形図上では噴気口マークがある辺りを差すようだ。アイヌ語の「ポンポッヌ・小さく各所に湧き出す温泉」とのこと。であれば、そんな山はない。とりあえず、ポンポン山まで行って、そこからサワンチマップを目指す。途中、トレースを辿るのを止めるが、結果的にはポンポン山までトレースは続いていた。案内板によれば、ここにはマダラスズという種類のコオロギが四季を通して活動しているらしい。残念だが、この日は彼らに出会うことは敵わなかった。

 さて、ここからが本番である。北東に続く斜面に取付き、一気にコンタ370mポコ付近へと登る。飛出したところには作業道が通っており、それを利用して350mコルへと向かう。350mコルへは少し下ることになり、体力的に既に薹が立っている我々としては何ともプレッシャーに感じる。 簡単と踏んでいたサワンチマップ、ここからがこの山の真骨頂だった。見上げた先は岩壁となっており、正面突破は無理というもの。ところが、果敢なIkkoさんには正面突破か、撤退かの選択肢のみで、避けるといった選択肢はない。右側へ逃げようとの私の進言も風の音。彼は既に岩壁の中へ。山遊人さんとチロロ3さんは大事を取って右側の斜面へ向かうとのこと。私としては最初に山遊人さんが抜けることが可能と言っていたルンゼの雪渓へと入る。確かに抜けることはできそうだ。早速昨日の猫山での経験を生かす場面である。

いよいよサワンチサップへの登りとなる (コルから) 急斜面上部の様子 実際にはもっと立った感じ
頂上台地上から見る屈斜路湖の様子 サワンチサップ頂上の様子

 三日連続登山のIkkoさんは足が上がらぬとのことで意外にも正面突破は止めるとのこと。微妙なトラバースで私の向かっている雪渓へと無事到着する。すぐに右手の岩へ逃げる手もあるが、雪渓をもう少し我慢して登れば、条件的にはぐんと良くなる。Ikkoさんには岩の隙間が良いと言ってしまったが、隙間に入ったIkkoさんは苦労している様子。私は雪面を騙しだまし攀じ登り、しっかりとした木を掴んでひと安心。不安定な状況のIkkoさんに「お助け紐を出そうか?」と尋ねたところ、「大丈夫…」との返答。彼は私の性格を見抜いており、本当は面倒くさいのに言うだけは言っていると見て取ったようだ。確かに当たらずとも遠からずだが、無精者の私でも、さすがにこんな場面は別である。だが、気があれば聞くより先に出すべきだったというのも事実で、山遊人さんであればすぐに出していることだろう。反省、反省… 急斜面はさらに続いたが核心部は何とか通過、吸い込まれそうな大パノラマを背景に一歩一歩ステップを刻む。サワンチサップの頂上台地の端では一足先に到着した山遊人さんが心配そうに見下ろしていた。

 サワンチサップの頂上部は広い雪面となっており、幾つかの高みが丘状に見られる。そもそもここには標石は埋まっていないので、地形図上の標高点をこの山の頂上としたい。GPSにて標高点を目指す。それにしてもシカの足跡がいたる所に見られる。シカはどうやってこの台地上に上がっているのだろう。そもそもはそれがこの山への登頂のヒントだったようだ。GPSを見ながらたどり着いた標高点は、何処といって何の変哲もない雪原だった。見ればもう少し高そうな地点もありそうだが、拘っていてはきりがない。一ヶ所だけ、その中の一地点へと進んでみるが、スノーシューをコルに置いてきてしまっては、場所によっては膝くらいまで埋まってしまう。ここで良しとしよう。展望については昨年のマクワンチサップと同様で、樹林が邪魔してすっきりとはしない。

 下りは山遊人さんが登ってきたルートを下ることにする。かなりの急傾斜ではあるが崖ではない。数多くのシカの足跡が斜面を横切っており、斜面自体が彼らの生活の場といった雰囲気だ。微妙な状態で登ったことによる満足感がないと言えば嘘になるが、ルート選択としては考える余地があったのも事実。安全最優先でルートを考えることが何より大切である。ともあれ、川湯温泉の三山はこれにて無事終了となる。(2015.1.3)

  サワンチサップの写真(Ikkoさん提供)へ

参考コースタイム】 林業多目的センター P 8:35 → ポンポン山 9:55 → サワンチサップ頂上 12:10、〃 発 12:20 → 林業多目的センター P 14:05    (登り 3時間35分、下り 1時間45分)

メンバー】山遊人さん、Ikkoさん、saijyo、チロロ3(旧姓naga)

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