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   江無須志山(463.5m)

422m標高点から見た江無須志山 (植林地のすぐ上が頂上)

1/25000地形図 「豊 糠」

422m標高点付近は痩せ尾根になっている
宿主別支線林道入口まで入ることができた
宿主別支線林道を登って行く

 平取町に江無須志(えむすし)という名の山がある。何とも難しい山名だが、登頂はことのほかたやすい。山名については調べがつかなかったが、付近の地名や河川名等から想像するに “江無”はメム(年中水が切れない沢、湧き水が出ているところ)とシュクシベツ(日当たりの良い川)が混ざってこのような山名となったのではないかと思う。あくまでも私の想像であるが… こんな超マイナーな山に登ることも藪山登山の醍醐味である。まだまだ沢山ある新ピーク、それらの山々への興味は尽きることがない。

 前線が北海道を通過、西高東低の冬型の気圧配置となり、札幌市内も本格的な雪景色となったこの週末だが、日高地方は晴れ時々雪の予報。こんな中途半端な時期には打って付けと思われたのが平取町周辺の低山だった。この山域の山々はあまりWeb上には登場しない。この地は日高山脈の見事な山並から続いており、500mにも満たないこの山域は一般的には山としては認知されていないような気がする。そんな中の一角が江無須志山だった。

 日高町の道の駅で仮眠、降雪状況の中、とりあえずは江無須志山を目指す。少ない積雪状況とは言っても江無須志山近くまで車が入るのは無理だろうと思っていた。結果的には、東面の山裾を巻いている宿主別支線林道の起点まで入ることが出来た。周辺で伐採作業が行われているためである。入口にはゲートがあり、作業の邪魔とはならぬようにゲート前に車を置く。山の準備をしていると狩猟目的と思われる車が一台。こちらが山登りに来た旨を伝えたところ、変な顔をして「上まで車で行けるよ」と言ってゲートを開けて走り去って行った。猟ともなれば、どんな山奥へでも4WD車で入って行くのだろう。我々とは趣旨の異なる人種であることには違いはない。

江無須志山頂上から於曽牛山を望む (Ikkoさん提供) 三等三角点「江無須志山」

 支線林道は入口から急傾斜となっており、普通車であればちょっと厳しいかもしれない。いきなり標高を上げている様子は低くなって行く宿主別川を見ていれば一目瞭然である。そのまま、奥まで林道を詰めて行けば楽かもしれないが、それではつまらない。最初のヘアピンカーブから422m標高点のある尾根に取付くことにする。取付きは登山道状態だったが、登って行くうちに傾斜が増してくる。ずり落ちそうなので、木々につかまりながらキックステップで標高を上げる。これを登り詰めると422m標高点、頂上が463mなので、この斜面がこの山の登りの全てといってもよいかもしれない。息を切らして登って行くと傾斜が緩んで歩きやすくなる。このあたりの笹は背丈が低い種類で、無雪期であってもそんなに苦労はないだろう。尾根が細って422m標高点付近を通過する。そこを過ぎると目指す江無須志山が見えてくる。特徴に乏しいのっぺりした山容で、頂上直下まで植林地となっていて作業道が横切っている。

 頂上へと向かう尾根筋には大きなアップダウンはないが左側が切れ落ちた状態となる。そのために展望が開けて宿主別川沿いに町営の牧場が広がっている様子が見える。かなり広い牧場だ。途中、右手から作業道が合流、尾根上に伸びている。おそらく、支線林道から続いているものだろう。そのまま林道上を直下まで進み、緩い尾根上を歩いて行くと江無須志山の頂上である。頂上展望は疎林帯に邪魔されて今ひとつだが、日高の一段高い稜線が迫って来るような様子や、平地の向こう側に見える鋭鋒などが見え、ついどこの山だろう?と考えてしまった。ひょっとしたら既に自分が踏んでいる山かもしれないが、如何せん判らないのが悔しいところ。こんな時には1/50000の地形図くらいは必携と感じる。

 雪は被っているがいつもの三角点探し。私がGPSを拡大しているちょっとの間にチロロ2さんの「あった!」の声。聞けば雪面が四角柱になっていたのにどうして気付かなかった! とのこと。確かにそうだった。機械に頼る前に自分の目というものがある。ここのところの悪い癖で、またもや機械に頼ってしまったようだ。精度の高いGPS機能というのが頭にあるがための出遅れである。山は自分の目で、頭で行動するもの。大きな反省を残す。(2014.12.7)  

参考コースタイム】 宿主別支線林道入口 P 8:05  江無須志山頂上 9:25、〃 発 9:45 → 宿主別支線林道入口 P 10:25  (登り 1時間20分、下り 40分)

メンバー】Ikkoさん、saijyo、チロロ2

                                

                                                                                         

 岩知志山(447.5m)

 

1/25000地形図 「豊 糠」

頂上から水平距離で200m地点まで車で入る

岩知志山頂上はすぐそこ

三等三角点「岩知志」  この三角点はこのままで …

  江無須志山の下山後、638号宿志別振内停車場線の直ぐ近くにある岩知志山を目指すことにする。この山は道道からも近く、ここを通る折にはいつも気になっていた山だ。地名が山名となっており、そんな意味ではこの地区を代表する山と言える。岩知志の地名は「イハチシはイハは険阻なる禿山、チシは底しにて、山の上流および下流原野」(平取外八箇村誌)とのことで、以前に登ったことのある崖山(541m)がこの語源。こちら岩知志山は地名が最初で、それが点名となり、山名となって地形図上に載ったのだろう。岩知志には高校時代に友人が住んでおり、学生時代には友人の実家をたずねて泊まりに来たこともある。そんなこともあって岩知志の地名はいつも頭の片隅に残っていた。

 桂峠からの古い作業道跡を目指すのも良いかもしれないが、豊糠側へ少し下ったところから山腹の東側を巻くように作業道が入っていたため、これに入ってみることにした。ゲートは開いており、タイヤ跡が残っているので、入れるところまで入ってみようと車を進める。少し急ではあるが普通車でも十分、結局は岩知志山まで200m足らずの地点で車を止めた。

 ここからは急斜面をひたすら登るのみだ。植林地の針葉樹林帯を抜けると斜度が増してくる。この山域は低山ながらどこでも結構な急斜面に出会う。12月の深雪が被った斜面は気持ち良く、キックステップで順調に標高を上げることが出来る。登り始めてからわずか25分、吸い込まれるような青空の中、疎林のために眺望はまるでないが、気持ちの良い頂上到着となる。四角く盛り上がった雪面の横には「たいせつにしよう三角点」と書かれた杭が立っていた。雪の被った三等三角点「岩知志」はそのままに… 最初に到着していたIkkoさん、頂上のほんの一角での冬の始まりをじっくり味わっているのだろう。冬特有の澄んだ青い空、若い時代に友人の住む教員住宅から見上げたものと全く同じ、岩知志小学校の青い空だった。 (2014.12.7)

 

参考コースタイム】 作業道 P 10:55  岩知志山頂上 11:20、〃 発 11:25 → 作業道 P 7:40    (登り 25分、下り 15分)

メンバー】Ikkoさん、saijyo、チロロ2

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