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  烏帽子岳(758.5m) 

 

芦別市の奥に位置する烏帽子岳

/25000地形図「奥芦別」

頂上から望む1493m峰「中岳」(左)と1456m峰「シュ−パロ岳」(右)
林道途中の広場に車を止める
ペンケリヤウシ川沿いの林道を利用して奥まで入る
ペンケリヤウシ川沿いの林道を利用して奥まで入る

インターネット情報によると、“烏帽子”の名がつく山は全国に57山あるようである。そのうち北海道には4山あり、札幌近郊と大雪山の烏帽子岳は有名である。烏帽子とは公家やその仕える人たちが日常かぶっていた縦に長い帽子で、 丸山や 三角山などと同様に見た目の形を山名としている。頂上は平らであるが周りが急峻な山が多い。 今回訪れた烏帽子岳は芦別市の奥に位置していて、多聞岳や辺毛山のように、三笠〜芦別間の道路の整備によって身近になった山である。やはりこの山も東西に急峻で、南側の国道から見ると、確かに烏帽子のように見える場所もある。

ルートは国道452号線、奥芦別のペンケリヤウシ川沿いの林道から入り、出来るだけ林道、作業道跡を利用して頂上直下まで進み、そこから少しの藪漕ぎで頂上に達する計画である。 林道に車を止めていると、一台の車が入ってくる。時期的には山菜採りが目的と思われたが、なんと登山者であった。相手もそう思ったようである。いくら登山ブームといわれる今日でも、この山で登山者に出会うことは、鹿やヒグマに出会うよりも確率が低いような気がする。身近になったとは言え、登山の対象としては、かなりマニアックな山であることに変わりない。聞けば苫小牧を朝出てきたそうである。藪山歩きの世界も確実に広がりを見せているようだ。

林道の広くなった地点に車を止め、そこから林道を詰めることにする。林道上にはウドの残骸も残っており、地元の山菜取りの人達は日常的に入っているようである。林道は地形図上、実線部分ではかなりしっかりとした感じではあるが、途中には雨裂もありRV車でも終点までの乗り入れは難しい。実線部分の終点付近にある小沢から先は作業道跡となり、潅木も成長していて鬱蒼としている。直ぐに、土場跡と思われる広場が現れる。地形図上、・破線で描かれている作業道はかなり荒れている。笹薮も起き上がっていて、藪漕ぎ状態ではあるが、何となく作業道跡であることは判る。今年も昨年同様、ダニが喜ぶ気候なのか、直ぐに45匹のダニがズボンの上を這っている。作業道跡は概ねしっかりとしているが、崖崩れのために跡形もなくなっているところが数ヶ所あり、崩壊跡を慎重に通過する。コンタ400m付近では完全に判らなくなり、ここからは沢筋を進むことにする。雪渓が現れ、さすがのダニも姿を消す。

烏帽子岳頂上にて 烏帽子岳三角点と「三重県烏帽子踏破同好会」の印

最初の予定では本流を進むことにしていたが、本流は急角度で稜線へ突き上げているようなので、コンタ460mの二股では右股を選び、詰めは西に伸びる比較的緩い斜面からのアプローチに予定変更である。右股は水量も少なく、傾斜も緩い。標高を上げてゆくと雪渓が解けたばかりなのか、ギョウジャニンニクの群生が畑のような様相を見せている。採取は帰路に考えることにして、まずは木々に摑まりながら尾根上へ上がることにする。尾根上は全くの藪であるが、傾斜は緩い。尾根上の詰めは再び急斜面の藪漕ぎとなり、頂上付近へ飛び出す。少し進んだところで三角点も見つける。頂上の展望はあまり良くないが、大雪・十勝付近の山々や芦別岳周辺がかろうじて確認出来る程度である。残雪のために白く輝く中天狗や1493m峰「中岳」の峰々は興味があるせいか印象的である。

三角点の横には「三重県烏帽子踏破同好会」と記された紙辺がビニール袋に入って置かれている。全国57山の“烏帽子”を登り歩いているのであろう。後日、ネットで記録を探してみたが、ネット上にはアップしていないようである。昨年の足跡であるが、登山道がない北海道の藪山へわざわざ三重県から足を運んでいるくらいであるから、おそらく全57山の踏破は既に完了していることだろう。ここにも別の “百名山”がある。

下山時、藪で覆われて判然としない作業道跡で再びダニが飛びついてくる。標高の低いところでは虫たちの活動もいよいよ本番である。(2004.05.22)

【参考コースタイム】 林道・駐車スペース 9:55 → 460m二股 11:15 → 西尾根上 11:45 → 烏帽子岳頂上 12:00、〃発 12:25 → 林道・駐車スペース 14:10

メンバー】saijyo、チロロ2

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