<戻る

      泥ノ木(903.8m)

 
当丸峠付近から望む泥ノ木山

/25000地形図  「両古美山」

泥ノ木山を登る
泥ノ木山頂上にて
泥ノ木山から望む余別岳(左)と積丹岳(右)
当丸峠、工事用スペースに車を止める
エゾイチゲ
群生するカタクリ

泥ノ木山の標高は903m1000mにも満たない低山であるが、積丹半島の中では存在感のある一山である。同半島内1000m以上5(積丹岳・余別岳・ポンネアンチシ山・珊内岳・赤石山)の展望台としては格好の位置にあり、当丸峠からの標高差も少なく、残雪期には両古美山・登山道を利用することにより比較的容易にピークへ立つことが出来る。

  今回トレースした「ガイドブックにない北海道の山50(八谷和彦著)で紹介されているこのルートは南西に面しており、一番速く雪解けが進む事が予想されるので、多少の藪漕ぎは覚悟しての計画である。当丸峠に一番近いと思われる、六志内覆道出入口近くの工事用駐車スペースに車を止める。トンネル部分以外の道路沿いにはシェルターの基礎部分と思われるコンクリート壁が続いており、近い将来の峠は全てシェルターやトンネルで覆われてしまう可能性がある。駐車スペースからは道路沿いに峠へ向かい、覆道脇に残る雪渓上を進むことにする。両古美山への入口を示す指導標は取り外されていて、判りづらい。登山道を進むと直ぐに雪渓が現れる。雪渓は両古美山の南面であるにも関わらず頂上へ向かう尾根筋の東側に続いており、登山道よりも開放感で優る雪渓上にルートをとることにする。所々顔を出している登山道周辺にはカタクリやエゾイチゲが群生しており、思わず目を奪われる。

  両古美山の頂上付近は雪渓に覆われているが、頂上を示す標識は南側の雪解けが進んだ藪の中にあるようである。帰路、頂上を確認するため登山道を登り返したが、頂上の標識は展望の利かない薮に囲まれた登山道上にあった。見通しの利く場所まで戻り位置関係を確認したところ、登りのルートに使った雪渓からは3040m離れていて、泥ノ木山への途中で立ち寄るには、この登山道を往復するか少し余分な藪漕ぎをしなければならず、効率が悪い。

両古美山からは稜線に残る雪渓上を快適に進み、途中標高815mの小ピークを越える。ここがルート中一番の登り返しがある場所で、往路コンタ710mコルまでは約100m下らなければならない。この小ピークから観察した泥ノ木山は、頂上直下付近まで辛うじて雪渓が続いているが、最後の一部分はつながっていない。対岸から見ると対する斜面は少し立って見えるという目の錯覚は十分に理解してはいるが、実際その場では何となく不安を感じるから不思議である。逆に斜面の下から上部を見上げたとき、傾斜が実際よりも緩く見え、登ってみると意外に急傾斜であったということもしばしば体験する。人間の視覚など、意外に頼りにならないものである。

  コンタ710mコルからは標高差200mの登りである。詰めの這松漕ぎを覚悟して、雪渓上を着実に登って行く。やはり、815mピークで感じたほどの斜度はない。約20分で雪渓の途切れる地点まで登り、ここからは這松と潅木と笹の入り混じった強烈な藪に突入する。道央や大雪付近の山より低い標高から這松が現れ、距離は僅かなのに、なかなか思ったようには進めない。潅木の背丈も低くなり、前方が開けると頂上到着である。三角点は見つけづらいが低い潅木の中に発見し、泥ノ木山頂上であることを確認する。この頂上は東西に伸びる頂上部の西端に位置している。頂上の東側には雪田が残っており、北面の斜面はスキー滑降が出来る程の残雪量である。展望は積丹岳のすぐ南東に位置するため、同山の全貌を見ることが出来る。付近の山塊の中では頭一つ飛び出しているためか、900mとは思えぬ高度感があり、積丹の山々の山座同定を楽しむことが出来る。(2003.5.18)

【参考コースタイム】当丸峠・駐車スペース 8:43 → 両古美山頂上付近 9:45 → 815mピーク 10:38 → 泥ノ木山頂上 11:34、〃発 12:10 → 815mピーク 12:50 → 両古美山頂上 13:55 → 当丸峠・駐車スペース 15:13

メンバーsaijyo、チロロ2

<最初へ戻る