<戻る

      美唄山(986.9m) 

一等三角点の美唄山・頂上部

/25000地形図「美唄山」

登山口は地形図上の林道終点
登山道には新しい標識が設置されている
コンタ840mへの急登
笹上の雪をたたき落として、進んで行く

数年前、美唄山に夏道が開かれたという話を耳にしたが、登山道があるのなら何時でも登れるような気がして、この時は聞き流していた。今は端境期ということもあり、HPのリンク仲間であるEIZI@名寄さんからの提案に便乗する形で今回、美唄山を目指すことにする。下調べもせずに1/25000地形図の拡大コピーのみを持っての参加である。予定していた美唄市街から続く道道135号線 (美唄富良野線)から下股沢林道へ入り、林道終点から美唄山へ向かう。後で判ったが、ここは現在、工事中のため通行止めとなっていて登山禁止とのこと。夜間に通過したため、気づかなかったが、少なくともインターネット等で最低限の情報収集はすべきであった。

霧氷ですっかり化粧された美唄山

林道の数ヶ所に新しい標識があり、ここがガイドブックに載っている登山コースなのかという期待が膨らむ。この冬一番の寒気団の影響でけっこう寒く、沢を計画しているだけに夏道が有りそうな状況には正直なところ少々ホットする。林道はアップダウンが激しく、普通車では多少厳しいが、通過できない箇所はない。林道終点(登山口)は地形図上でも終点となっているコンタ490mの二股で、「美唄山2.8q」の標識がある。

林道は直ぐに沢を渡渉する。登山道は林道から続く作業道跡を利用したものであり、右股からカーブして左股へ入って行き、標高を上げて行く。左岸へのカーブ手前で「熊出没」の看板を見るが、山行中を通してヒグマの形跡は全く見ることはなかった。途中からは集材路を繋ぐ踏跡を辿り、最後はコンタ840mのコブへ向かっての急登となる。要所々にはピンクテープやロープなどがあり、管理されている様子がうかがえる。後で調べたが、この登山道は1999年に450名ものボランティアによって開削されたそうである。地元美唄市としても市名が冠する山への美唄側からの登山道が欲しかったのかもしれない。

コンタ840mのコブは既に一面の銀世界であり、今シーズン最初の冬山状態となる。とはいってもまだまだ積雪量は少なく、長靴でも十分である。コブの頂上には「日本庭園」の看板がある。この付近はきっとうるさい草木が少なく、夏には日本庭園のような清楚な光景を作り出しているのであろう。ここからの美唄岳は南北に圧倒される大きさで広がっている。樹木の枝々に薄っすらと積もった新雪が突然の雪景色を作り出し、本峰をより引立たせているようにも感じられる。頂上へは一度下らなければならず、コルまではかなり下るようにも見えるが、標高差は僅か30m程度であり、見た目ほどのことはないようだ。頭から雪を被ることだけは遠慮したいため、笹上に被った雪を払い除けながら進んで行く。この日は、滑らないことにかけては優れものであるスパイク長靴も積み重なった落ち葉を拾ってしまうのか、うっすら積もった積雪では妙に滑りやすく苦労させられる。コルからの約150mの急斜面に一汗かくと頂上南側の肩に到着する。肩には頂上まで500mの標識があるが、ここまで登れば然程の距離感は感じない。東側の切れ落ちている斜面を巻くように進み、最後は緩い傾斜の登山道を登りつめて一等三角点が設置されている頂上に到着する。

通称「日本庭園」付近は高度感もあって楽しい 美唄山頂上に到着
辺毛山と思われるが、山座同定は簡単でない 沢ルートに現れた三条の滝

着いて驚いたのは北側へはさらに続く登山道があり、こちらがガイドブックに載っているコースとのことである。コース中には通称“芦奈江岳”、“奈井江槍”など、興味をそそられる山々があるそうで、一度は訪れて見たいと思っている。一番楽しみにしていた芦別岳から夕張岳へ続く山並みの眺望は雲に隠れていて見えないが、境山や奔別岳、北側には辺毛山と思われる山々が見える。何れも以前に登った山であるが、どれもこれといった特徴に乏しく、山座同定を楽しむにはちょっと厳しいものがある。この日の気象状況では、当日の服装は十分とは言えず、寒さで頂上ビールも一向に進まない。しばらくの間、天候の好転を待つことにするが、あまり変わりそうにもないため、残念ではあるが下山とする。

EIZI@名寄さんの提案で840mのコブからは沢筋まで、真っ直ぐに下ることにする。藪山ばかり登っている我々への気遣いかもしれないが、こんな雪景色の中では正直なところ、おとなしく登山道を退散する方が良いかな?とも思えてしまう。しかし、こちらも藪山専科の看板を掲げている以上、ここで引くことは“地図がガイド…チーム”の孤剣に関わる問題であり、“楽しそうに”沢への突入である。長靴を水没させることは出来ないが、最悪でもあとは帰るのみと割り切るしかない。沢の水量はかなり少ない。途中、思ってもいなかった滝が現れ、予想外に楽しむことができる。最初に7〜8mの水量のない滝が現れる。ここは右岸の斜面の潅木に摑まりながら慎重に下降する。次に現れたのが、三条の滝である。この滝は右岸側から滝を見ながらの容易な下降であるが、もし登るとしたら…のルートファインディング談義に花が咲く。実際登ることも試みてみるが、沢登りの楽しさを十分に思い出すことができた。その後、滑床も現れ、この沢詰めルートは意外に面白そうな印象を受ける。こんなことなら頂上直下まで沢ルートを取った方が、より楽しい山行ができたのかもしれないが、それは無雪期の楽しみとしよう。 (2004.10.24)  

EIZI@名寄さんの美唄山へ

【参考コースタイム】美唄山登山口 6:50 → 「日本庭園」(Co840mコブ) 8:05 → 南側の肩 8:35 → 美唄山頂上 8:50、〃発 9:30 → 下股沢入渓地点 10:20 → 美唄山登山口 11:20

メンバー】 EIZI@名寄さん、saijyo、チロロ2、チロロ5(旧姓;isidoさん)

<最初へ戻る