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      狩岳(726.1m)

三度目の山行で初めて顔を出した別狩岳

/25000地形図 「 四番川 」

駐車スペースは自分達で除雪

  当別町には“別狩岳”が二つあり、どちらも低山であるが、時期や積雪量によってルート選びが左右され、標高の割には苦労させられる。北の別狩岳の通常ルートは尾根取付きまでのアプローチで現れる五番川をいかに渡渉するかが登頂の成否を決める。通常と言ってもほとんど人の入らない山域での通常であり、あくまでも地形図上での通常である。道道から東尾根末端までは広い平地が続き、その中を五番川が流れている。途中左岸から右岸に変わる付近で蛇行しているが、ここはどうしても渡らなければならない。昨年の同時期に初めてこの山を目指したが、意外な水量に手も足も出ず、悔しい思いで引き返したことは記憶に新しい。それではと、先週は長靴を背負って出かけて行ったが、この日は気温が高く昨年にも増して水量があり、一歩目ですでに水位は膝下に近く、とても二歩目の足を踏出すことは出来なかった。失敗を繰り返すと潜在的に苦手意識が植え付けられてしまうのか、その山の難易度以上に難しく感じられるものである。12月ではスノーブリッヂなどあるはずもなく、ルートを変えるか時期を変えるか、発想の転換を迫られる。五番川南側の尾根は地形図上では判りづらく距離もあるため全く考えてはいなかったが、地図を真剣に読みさえすればどうにかなるのではないかとあえて考えてみることにする。

予想以上に時間を費やすが、別狩岳頂上に到着する
ルート上は積雪も少なく、まだ笹が顔を出している
下山はエスケープルートを使うが、日没ぎりぎりである

当日の朝、山仲間の児玉さんが「手伝いに来た」とのことで飛び入り参加となる。以前からこのHPで何度か失敗したとの情報を流していたこともあるが、わずか726mの山で何をやっているのか・・・との思いがあるのかもしれない。彼の参加で潜在的な苦手意識は完全に吹き飛んでしまう。

今年は例年になく積雪量の少ない12月である。林道には1週間前のトレースが薄らと残っているような状態である。約1km弱で昨年のルートとの分岐となる。蛇行地点の渡渉は時間切れの場合の非常手段とし、そのまま林道を進む。223m標高点近くの峠からは地形図上には載っていない作業道が1本入っていて予定ルートの尾根の東側へ伸びている。この作業道を出来るだけ利用して進むが、小尾根と作業道との落差が明らかになった時点で小尾根上へ移動する。小尾根上は雪に埋まりきっていない笹や潅木、時にはブドウのツルが絡み付き非常に歩きづらい。予定ルートである東尾根上へは386m標高点手前のコブ上で飛び出す。

ルート上は積雪も少なく、まだ笹が顔を出している

少しは歩きやすくなるが、ここからがアップダウンの連続である。386m標高点の次のコブを越えるとラッキーなことに集材路が現れる。この集材路はコブを巻くように付けられていて、難しいと思われた複雑な地形も難なく通過することが出来る。結局、南東尾根への一つ手前のコブまで付いていて、時間を大幅に短縮することは出来るが、一年で一番日の短いこの時期、藪尾根の登りで予定以上の時間を費やしているため、登頂までに使える時間はわずかである。最後のコブは痩せていてスキーを履いての登高ではかなり歩きづらい。

565.0m三角点付近からは尾根も広くなり多少歩きやすくなるが、頂上までの距離はかなりありそうである。広い尾根上は潅木の密度が薄いところに出来るだけルートを選び時間の短縮を図るが、焦る気持は抑えようがない。東尾根の頭が近づいてくると、別狩岳頂上部が薄らと姿を現す。霞んでいるため実際以上の距離感を感じるが、地形図を読み直し視覚による距離感覚の誤りを修正する。東尾根の頭を通過した時点で、往路を引き返すタイムリミットとなるが、問題の五番川の渡渉も帰路であればどんなに濡れても、わずか30分間の我慢で車にたどり着けると自分に言い聞かせる。廻り込むように登って行くと待望の頂上到着である。頂上到着の喜びは感じるが、それ以上にこの別狩岳へ再び足を運ばなくても良い安堵感の方が遥かに大きい。頂上からの展望は雪雲で霞みあまり利かないが、わずかに四番川周辺や丸山を望むことが出来る。

帰路は東尾根の頭から通常のルートを使うことにする。途中からの急斜面は藪だらけで、スキーはかえって邪魔となり、ツボ足で下った方が速く楽である。約50分で五番川の広い河原に到着する。膝まで濡れるだろうと覚悟をしていた問題の渡渉地点は意外に水量が少なく、プラブーツのままでもほとんど足を濡らすことはなかった。 (2003.12.23)

参考コースタイム】 林道入口 7:55 → 565m三角点付近 10:45 → 東尾根の頭 12:25 → 別狩岳頂上 12:55、〃発 13:05 → 東尾根下降終了地点 14:25 → 五番川渡渉地点 15:10 → 林道入口 15:50

メンバー saijyoチロロ2ko玉氏

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