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   番ノ沢山(740.5m)

地味な山容の番ノ沢山 (辺毛山から)

    1/25000地形図「文 殊」「上芦別 

目的地になんとか到着
藪漕ぎ中のKo玉氏、この山は藪漕ぎのみ

今回のターゲットは旧芦別炭鉱の奥深い山、番ノ沢山である。EIZI@名寄さんの記録にも「この頂きの記録は見当たらず、積雪期を主対象と考えても無雪期に登る事は極めて稀と考える」とあったが、魅力に乏しい無雪期のこの山を目指す登山者は、「藪山愛好会」のメンバー以外は今後もまずいないだろう。この山の西側の林道から藪漕ぎで頂上を目指す一番容易と思われるルートから計画する。国道452号から道道115号(芦別砂川線)を炭山川沿いに走り、分岐からそのまま炭山川沿いの林道へ入る予定でいたが、115号線は橋の架け替え作業のため、入口にゲートが設けられており、ガードマンまで立っていた。交渉してみたが全く通してもらえなかった。であればと、辺毛山へのアプローチとして、以前に一度使ったことがある八月の沢林道から入ることにする。ただし、この林道は辺毛山付近が特に悪く、一昨日からのまとまった雨の後ではダメでもともとである。番ノ沢山の名は、芦別川支流の番ノ沢川水源の山によるものと思われるが、“番屋ノ沢”なのか“岩盤ノ沢”の転化なのかは判らないが、旧芦別炭鉱の中心地である頼城地区に位置していることを考えれば、前者に分があるように感じる。

この林道は途中に採石場があり、そこまではわりとしっかりしているが、採石場を過ぎると鬱蒼として心もとない感じとなる。辺毛山の山腹を巻くように続き、前述の道道115号へと繋がっている。特に雨上がりでは何とも不安な感じで、ハンドルを持つ手にもつい力が入ってしまう。途中一ヶ所、分岐を間違えるが、番ノ沢山に一番近い小沢を渡る橋まで無事に到達、路側帯に車を停める。山自体は直線距離にしてわずか600mと、山登りとしては大したことはない。ここまでたどり着く方が余程きつい感じの登山開始である。

番ノ沢山頂上に到着 さて、三角点は・・・ 土中に埋まっていた番ノ沢山の三角点

普段であればおそらく殆ど水量のない沢であろうが、今日に限っては立派な流れとなっている。入渓して直ぐに二股となり、水量の少ない左股へ入るが、それでも規模のわりには水量だけは豊富である。古いブル道と思われる平坦地が右岸沿いに続き、軽い藪漕ぎで標高を上げて行く。途中から傾斜が増し、頂上稜線へと扇形に広がる地形となって水流は消える。後は比較的細い笹薮となるが、大した藪漕ぎもなくスパイクをばっちりと効かせてコルへと飛び出す。頂上までは150m、藪が被っていてもしっかり射程圏内である。そもそも三角点が頂上というわけではないので、ここまで登れば立派に登頂である。

三等三角点「番ノ沢」は土中に埋まっていた。Ko玉氏が捜し当てたが、決してよく言われているように臭いをかぎ分けたわけではない。地形図上およそこの辺りと思われる場所で、三角点の周辺に良く見られる石ころを探し、そこから50cm四方の範囲内に埋まっている確率が高いようである。三角点を見つけたところで、特にどうということではないが、地形図上での位置の確証を得る意味では、やはり実物を見ることによってこそ確かな手応えを感じるのは事実である。また、それが藪山登山というゲームの宝そのものといえる。Ko玉氏は我々が既に辺毛山を踏んでいることを知っていて、この山を踏みたいとの思いはしっかりとしまい込んできたようだが、この林道へ再び足を踏み入れるのも大変な話である。もうひと漕ぎしても良いかという気分になり、番ノ沢山からの下りの最短ルートを、下山ルート取りの名手でもあるko玉氏に委ねる。こうなれば、ピークハンターの心のエンジン始動は言うまでもない。下りは車の駐車場所を目指し、藪尾根上を一直線である。

6年ぶりの再会となった辺毛山の三角点

さて次は辺毛山である。私にとっての辺毛山のイメージは、薄い藪と短い登山ルートといった軽登山のイメージであった。ところが今回に関していえば、前回とは違って短いルートを取ったにも関わらずかなり消耗させられた。スタートは林道ののり面である。停めた車を足もとに見ながら攀じ登るが、石でも落そうものなら車を直撃しかねない。ここは慎重である。植生は薄い藪と思いきや、徐々に濃くなって行く。終いには背丈を超える根曲がり竹となり、それにツル植物が織り込まれたような、正に壁といえる状態となっている。まともに行っては突破できず、全体を前に引っ張り倒すようにして思い切り足を上げ、踏んづけて前進するより術がない。二回目の辺毛山は盛夏ということもあり、自然の力強さをつくづく実感させられた。それでも頭が赤く塗られた三等三角点「辺毛山」との6年ぶりの対面を果す。こんな山に二度も登頂する人間も滅多にいるものではないだろうと思いつつも、前回とは違った光景にそれなりに満足感は感じる。どのへんかは判らないが、石狩川・中流部の平野が見える。たとえ逆に平野から特徴に乏しいこの山を指呼しようと思った場合、それは至難の業といえるだろう。

下りは尾根を外さぬよう、慎重に下る。Ko玉氏には沢形に引っ張られてしまうのが判るようで、細かな修正を加えてくるが、私にはどこも同じようにしか見えない。確かに左手の沢形へ引っ張られているとは感じるが、見ようによっては戻った地点も大して違いはない。こんな場合の決め手が予め折っていた枝の形跡であるが、二番手で枝を折りつつ登ってきたKo玉氏だからこそ見えるのだろう。いずれにせよ、ある程度の経験が必要な技といえるだろう。下山後にGPSで確認したところ、三ヶ所で往路を飛び出していたが、その度毎に綺麗に修正されていた。

 八月の沢林道を引き返す途中で車がパンクしてしまう。予備のタイヤに取り替えて芦別市街のスタンドへいったところ、大雪方面への登山の帰りに立ち寄ったと思ったようだ。番ノ沢山と辺毛山の帰りと話したところ、地元の人間にとってもかなり意外だったのか、あきれ顔で笑っていた。この林道は砕石場のバラスを敷いていることもあり、よく車がパンクするそうである。また、トラックの運転手はクマがよく出没することもあってか、なぜか恐れているらしい。ともあれ、パンクはしたがクマにも遭遇せず、効率よく700m以上の二山を落としたKo玉氏にとっても、かなり充実の一日であったということはいうまでもない。(2009.7.20)

【参考コースタイム】

林道最短地点P 11:10 番ノ沢山頂上 12:30、〃発 12:50 林道最短地点P 13:30 (登り 1時間20分、下り 40分)
辺毛山・最短地点P 13:55 番ノ沢山頂上 15:20、〃発 15:30 林道最短地点P 16:10 (登り 1時間25分、下り 40分)

 【メンバーKo玉氏saijyo、チロロ2 

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