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 阿蘇岩(418.0m)

当別ダム堰堤からも阿蘇岩山は存在感ある姿で望まれた

/25000地形図「弁華別」

当別町の総合体育館に集合する
山の上の基地へと続く砂利道を歩く 

  北海道の全ての山を登ろうと考える場合、そのネックとなるのはアプローチが難しい奥深い山への対策となるが、実は一番難しいのが、人為的に規制された山である。特に山全体が立入り禁止となっている山については運を天に任せるより他に登頂のチャンスはない。全山登頂まで残り95山と迫ったKo玉氏から電話が入った。昨年、雨のために中止となった当別町の阿蘇岩山だが、今年も

「ふれ・スポ・とうべつ」のウォーキングが開催されるらしく、年に一度のチャンスでもあり一緒に申し込もうとの電話だった。彼は彼なりに当サイトを心配して、話題性のある山を探してくれているようである。阿蘇岩山はたかだか400mの丘のような山であるが、三沢の航空自衛隊のレーダーサイト(北部航空警戒管制団第45警戒群)となっていて、途中どころか麓の入口から先へは全く立入れない。もし、入るのであれば正式な許可が必要となるが、登山がその目的では門前払いを食らうのが関の山である。

弁華別付近の田畑は黄色く色づいている 当別市街をズーム 手前はゴルフ場
地元の高齢者も多数参加 (頂上にて)
自衛隊バスも歩けなくなった参加者のために用意されている

 「ふれ・スポ・とうべつ」とは地元当別町の地域スポーツクラブで、地域との交流の意味からから基地の自衛隊員も参加しているらしい。そんなこともあって企画されたのがこのイベントで、一昨年以来毎年二回開催されているとのこと。春先は山菜を取るのが目的で、秋は頂上までのウォーキングである。日常的にいつも眺めている山だが、登ったことは一度もないという地元のお年寄りも参加しており、地元民にとっては素晴らしい贈り物といえるだろう。しかも、自衛隊のバスが頂上まで伴走、歩けなくなった場合には収容してくれるといった細かな心遣いも見え隠れしている。また、集合場所を当別の総合体育館としたのも基地へと向かう道路の入口には民家が建っており、迷惑駐車等の周辺への配慮だろう。

 当別総合体育館の広い駐車場に車を止め、体育館前で参加費1000円を支払って迎えの自衛隊のバスに乗る。参加者は年配者が多く、地元と思われる参加者がやはり多い。弁華別小学校の趣ある校舎を見ながらバスは道道を離れて阿蘇岩山へと向かう。やはり登ったことのない山には心ときめくものがあり、この山は私も日頃から目にしていただけに特にそう感じる。山が近づくとゲートとなり、ここが今日の登山口だ。自衛隊員を先頭にゲートを通過、砂利道を上って行く。この日は気温が高くて風もない。半袖シャツ1枚でも暑く感じる中、先頭の隊員は長袖を着込んで平然と歩いている。全然平気なのかと聞けば、やはり暑いとのこと。彼らだけが特別ではないようだ。写真の撮影については規制があるらしく、具体的な話は今のところないが、さすがにカメラを出すのははばかられた。だが、木々の間から昨年完成した当別ダムが見えたのでズームで1枚。ここからのアングルでの撮影はレアであること間違いなしだ。

昨年完成の当別ダムをズーム
鞍部のヘリポートで一休み 

  途中1ヵ所で休憩、後続を待つ。小学生から老人までの50〜60名の大人数とあっては、大きく広がるのは当然で、担当者も気疲れしていることだろう。最後尾に自衛隊のバスが付いているので心配はないが、こんな企画は自治体や自衛隊の協力なしには成り立たない。概ね緩い道路は阿蘇岩山の本峰とコンタ390mの北峰の鞍部へと続く。衛兵が立つ基地の入口を通過、広いヘリポートで大休止となる。基地内には懐かしのF104が静態保存されていて子供達は大喜びだ。この戦闘機は私が子供時代にプラモで何度も作ったクラシック機で、怪獣ものにもよく登場し、ゴジラやギャオスの発する光線に為す術なく落されていた記憶がある。今の子供達にはどう映っているのか… トイレタイムは基地内の司令部舎内を使わせてもらう。整然とした舎内はとても山の上に居るとは思えない雰囲気である。北朝鮮の人工衛星(ミサイル)もここでしっかり監視されているのだろう。ヘリポートに戻って隊員の話を聞いてみると、ここは豪雪地帯ということもあって昨年の最大積雪は13mだったとのこと。立っている電柱さえすっぽり埋まってしまう高さである。除雪もままならなかったらしい。

Ko玉さん、やったね!

 全員がヘリポートに到着、いよいよ頂上へと向かう。といっても相変わらずの道路歩きで、登山ではなくウォーキングといった雰囲気である。途中、施設が見えるが写真を撮るのはひかえることにする。大きく回り込むと頂上の丸いレーダードームが現れる。Ko玉氏はそわそわ、以前の登別クマ牧場でもそうだったが、クマなど全く興味がなく脇目も振らずに三角点へと直行している。彼にはレーダードームもクマも、さらに言うなら頂上風景でさえも付録に過ぎない。道路から少し離れた場所に国土地理院の棒杭「大切にしよう三角点」を発見、矢も盾も堪らず、傍にいた自衛隊員に「入ってもいいだろうか?」と思わず一言。あっ!言ってしまった… OKの返答が出る間もなくKo玉氏は"頂上"に吸い付けられていった。後で判ったことだが、この場には当サイトもリンクさせて頂いている「北のかもしかの山歩きの北のかもしかさんも居合わせていたらしく、面識がなかったために気が付かなかったが、この一部始終を見ていたらしい。このイベントの申し込み時「一等三角点云々はこの催しの主旨とは違う」と、主催者側からいきなり釘を刺されており、我々はその件については一切触れぬよう細心の注意を払っていた。私も新しいスニーカーにディパックと、それとなく初心者を装う念の入れようでの参加だった。一等三角点の件については事前に北のかもしかさんが隊員に頼んでいたらしく、結果的にはKo玉氏がそれに便乗した格好である。Ko玉氏はあまりの嬉しさにザックを三角点に置いて来てしまったようだが、すかさずそれを見つけたのも北のかもしかさん、偶然とはいえKo玉氏の目論見は北のかもしかさんのフォローの上に実現していた形だ。面識はなくても自然に連携プレーとなったあたりは、やはり興味を同じくする者同士の成せる技といえるのかもしれない。何はともあれ「Ko玉さん、やったね!」だが、残る94山、まだまださらなる生みの苦しみが待っている。

 一等三角点のマニアには垂涎の「阿蘇岩山」、この頂上からの展望は抜群だった。特に眼下に迫る稲穂が黄金色に染まった光景は、この山ならではのものといえるだろう。「自衛隊さん」曰く、冬は死ぬほどつらいが秋の景色はそれはそれは美しいとのこと。札幌を含む平野の広がりや薄っすらと海上に浮かぶ小樽方面、安瀬山や円錐峰などの北側に連なる山並など、真っ青な空と質量感ある積雲に映えるそれらの眺望は、夏の終わりを印象付けるには十分過ぎるものであった(2013.9.8)

参考コースタイム】 当別町総合体育館 930 弁華別・道路入口 10:00 ヘリポート 10:35、〃 発 10:55 阿蘇岩山頂上 11:10、〃 発 11:20 → ヘリポート 11:30、〃 発 12:00 → 弁華別・道路入口 12:35 当別町総合体育館 1300 (登り 45分、下り 45分)

メンバー「ふれ・スポ・とうべつ」主催者及び参加者、Ko玉氏、北のかもしかさん、Saitさん、saijyo、チロロ2、

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