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  朝里岳(1281m)

奥手稲・ユートピアから望む朝里岳

/25000地形図「余市岳」

準備してスタート
朝里峠のトンネル出口の駐車スペースに車を置く
トンネルからは緩い斜面を行く

朝里岳と言えば山ヤの間では“飛行場”で知られているが、知らない人の前で飛行場というと、国際スキー場の上には昔、飛行場があったのか…?と聞かれてしまう。確かに整備すれば軽飛行機であれば十分に離発着可能な広大な敷地かもしれないが、冬場のここほど視界不良に悩ませられ、役に立たない飛行場はないだろう。意外に険しい地形が多い札幌近郊にあり、ここだけは1200mの高さにあって、なぜかのっぺりとしている。もちろん通称であり、以前には国鉄・銭函駅から峠越えして丸二日を要してここに到達していた。険しい稜線や谷を越え、この広大な平地に到達した時の驚きを考えれば、飛行場との表現はあながち頷けなくはない。かつてはかなり奥まっていたこの山域も1978年の国際スキー場、1991年のキロロ・リゾートの開設により、アプローチが抜群に便利な山へと変わった。特に天候が安定する春先であれば雄大な展望を背景に、快適な春山登山が楽しめる山でもある。

スタートは朝里峠のトンネルを小樽側へ抜けてすぐの広い除雪スペースで、以前にはここから屏風岳へ登っている。今回はチロロ2さんが、初めてのスノーシューにて参加する。トンネル上のコルを目指し若干傾斜のある斜面を登る。稜線上へ出るとスノーモビルが既に朝里岳を目指し爆音と排気ガス臭を残して駆け抜けていったようで、走行跡が残っている。ラッキーとばかりに走行跡を歩いていると、次々と後続のスノーモビルが現れ、退避せざるをない。我々登山者は自分達でラッセルした方が無難なようだ。彼らは彼らなりに冬場のモータースポーツを楽しんでいるのであろうが、去った後の爆音と排気ガスの臭気のため、それまで垣間見えていた野鳥の姿やさえずりが消えてしまうのは、何とも寂しいところである。辺りが白樺林から針葉樹林帯へと変わると928mの国際スキー場第一リフト終点付近で、平らな広い樹林帯となり、しばらくはスキー場のコースに平行して進む。アナウンスが鳴り響き、ここはもはや冬山とは言えない雰囲気である。

ふと見ると林間からリフトのスキー客が見え、下って行くスキーヤーやスノーボーダーも見える。コース外立ち入り禁止の看板も見られるが、もともとスキー場の敷地内へは立ち入っていない我々も見つかったら注意を受けるのだろうか?係員の出方を見てみたい気もするが、先月にはスノーボーダーによる凍死事故があったばかりでもあり、自由に動き回る我々冬山登山者はスキー場にとって明らかに迷惑な存在である。ここはあまり敷地には近づかないように進んだ方が良さそうだ。晴れて青空がのぞいていた空模様もこの頃から徐々に曇り始め、雪がちらつき出す。

札幌国際スキー場の横から通称;飛行場を目指す 朝里岳頂上はこんなところ

1099mゴンドラ終点へは行かず、朝里岳への斜面に直接取り付く。この山もゴンドラを利用して上がってしまえば、およそ登山とは言えない至近距離かもしれない。飛行場へは樹林のない広い急斜面を一登りである。いつもながら、雪が風で飛ばされたガリガリの広大な平原、吹かれたら熟練した冬山経験者であっても方向を失うそうである。目印となるのは時々現れる大木で、霞んで見えるときには大木であっても、近づくにつれ縮まってしまう。こんなに気象条件の厳しいところでは大木など育つはずもない。

大まかなところは読図にて乗り切るが、目標物の乏しい地形のピンポイントとなるとGPSの出番となる。距離400mが300、200と縮まって行き、いよいよ100m。何度も登った山ではあるが、いつもホワイトアウトで、頂上を特定できたことはただの一度もない。初めてお目にかかる頂上である。しかし、どんなところかとの期待でたどり着いた三角点頂上は、進んできた雪原と何ら変わりはなかった。違うところと言えば、半径10m以内のどこかに三角点が埋まっているという事実だけである。視界が利けば石狩湾なども見え、もう少し頂上らしいのかもしれない。

三角点から約60mほどで市町村界となり、こちらが最高点すなわち本当の頂上である。標高を測ったところ、三角点の標高より4mほど高い1284mを表示していた。相変わらず視界は利かずホワイトアウトであるが、確かに頂上を踏んだという満足感を得ることはできた。付近にはスノーモビルの走行跡が残っているが、さすがにこの視界不良の状態では彼らは上がってこない。トレース跡が消えぬうちに下山を開始した方が良さそうだ。以前には真平らと思えた飛行場にも若干の傾斜があり、シールを付けたままでも実に良く滑る。スノーシューのチロロ2さんは注意していても直ぐに見えなくなってしまう。朝里岳のような地形では、やはりスキーの方が圧倒的に有利のようであった。(2007.2.18)

【参考コースタイム】 朝里峠 P 8:40 → 第一リフト終点 9:50  →  朝里岳頂上 15:30、〃発 12:05 →  朝里峠 P  14:35

メンバーsaijyo、チロロ2チロロ3(旧姓naga)

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