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   東山(690.7m)、月見山(678m)、安足山(851.0m

 

1/25000地形図 「東 山」

月見山北面から東山を望む
ラッキーにも、月見山東面の分岐まで車を乗り入れる
林道分岐からは除雪されていない林道を進む

  東山も月見山も、以前にそれぞれ同名の山に登っている。両山ともに月並な山名であり、山名の由来としてはわりと新しいのではないかと想像する。安足山はアイヌ語のアンタル(淵)からで、安足間川がその語源である。今回のそもそもの計画はこの安足山の登頂だった。位置的に奥まったこの山、深雪の時期ともなれば除雪終点からは相当遠いだろうと想像していた。予定としては当麻町・大沢ダムからのアプローチで、あわよくば月見山もゲットしようというもの。いずれにしても現地に行ってみなければ判らず、臨機応変な判断で行動するしかないようである。

 前の晩に深川の「道の駅ライスランドふかがわ」でIkkoさんと合流、計画についての打合せとなる。深雪のこの時期、スキーであればまだ良いとして、スノーシューではちょっときついかもしれない。道道223号(愛山渓上川線)は国道39号線から最終人家までは除雪されているらしく、当麻側よりは距離的に近い。登頂が前提であれば、安足山はいずれの機会として、愛山渓側から東山と月見山の2山を狙うことで予定の変更を決める。計画している山域は総じて東側が急斜面となっていることもあって、アプローチの第一選択としては林道の利用を考える。

 愛山渓ドライブインから1.5kmほど入った地点で目的に合致しそうな林道入口となる。見れば何やら除雪されているようだ。入口の掲示では500m先までは入れるらしい。修理工場から帰ってきたばかりのIkkoさんのサファリ、この屈強な車であれば500mくらいは進めるだろう。さっそく林道走行となるが、驚いたことに500mどころか除雪された道路はさらに奥へと入って行ける様子。そうこうしているうちにカーナビに東山と月見山が現れてくるから驚きである。ひょっとしたら両山まで車で行けてしまうのではないかと逆に心配になってきた。狭い雪の回廊を曲ると突然、除雪中のブルトーザーが前から現れた。ヤバイ… 落ち着け、落ち着け… こんな時は素直に登山の旨を伝えて、真摯に相手の指示に従うこと。ここ数年の経験則である。案の定、ブルトーザーの主は駐車する場所を指示してくれ、快く我々登山者を受け入れてくれた。

《まずは東山へ》

安足山、最後の登り (Ikkoさん提供)

 指示された場所は月見山の東面直下で、東山と月見山を狙うには願ったり敵ったりの場所であった。ここからであればひょっとしたら安足山も狙えるかもしれない。さらに、何と現地では単独行の登山者が我々の進もうと思っている方向へと向かってラッセルしている。こんなマニアックな山域で他の登山者とめぐり合う確率など、ヒグマと遭遇するようなもの。除雪のない林道は月見山の北側のコルを通過して当麻側へと下っている。先行者はコルの手前で月見山へと向かっていた。我々の目指す先はまずは東山で、途中からはラッセルとなる。ラッキー続きだったためか見通しが甘くなり、東山すら遠く感じられる。気温的にはそう暖かくはないはずなのだが日差しが意外に強く、汗だくになりながらも東山の直下へと到着する。除雪のない林道が頂上丘をかすめるように通過していた。林道から静かな樹林帯へと入り、少し進んだところが東山頂上であった。樹林が邪魔して眺望はすっきりとはしていないが、木々の隙間からは上川町市街の広がっている様子が見える。この山は上川町の里山といったところだろう。

《二山目は月見山》

 さて、次は月見山である。トレースを簡単に戻り、コルから月見山へと取付く。回り込めば緩い登りとなるだろうが、北面の斜面は開けており、展望に期待しつつ真正面から月見山を目指す。大きくジグを切って高度を上げると、東山がのっぺりとした姿で全容を現す。予想していた通りの魅力ある山ではないが、登頂した喜びは自分のもので何にも換え難い。スノーシューのIkkoさんにはけっこう苦しい登り。少し先の頂上までは平らな雪面歩き、途中で先行者のトレースと合流し、どこと言って特徴のない月見山頂上となる。頂上は広い雪面の一地点、樹木が邪魔して展望など何もない総じて軽い登りで予定していた2山をゲットしたが、除雪されていた林道に拠るところがかなり大きい。  

東山頂上と「金麦」
東山頂上は前方の樹林帯の中 東山頂上と「金麦」
コルから月見山を望む 月見山頂上はこんな何もないところ

《本命安足山は遠い》

 トレースは安足山方向へと続いている。GPSでは安足山までの距離は約3.8km、先行者のトレースを使わせてもらえば届かない距離ではない。スキーのトレースがあるということは私には大変有難い。しかも、月見山から安足山にかけての地形は変化に乏しく林道も続いている。今日のメンバーは屈強なIkkoさん、この機を見逃す手はない。当然だが、3山目へ向けてのスタートとなる。スノーシューのIkkoさんには申し訳ないが、拾い物の一山となるのは間違いなさそうだ。先行者のトレースは右に行ったり左へ行ったりと効率が悪いが、私が先行者となった場合でも同じことになっているのだろう。ルートファインディングをしながら進むのだから当然である。

 698m標高点を過ぎた辺りで先行者の帰りのトレースが現れた。途中で出会わなかったことを考えれば東側の林道へと下ったのだろう。さらに進んだところで、進むか止めるか迷ったような形跡、先行者はここで行動を中止している。彼は我々とは違って林道を歩いて上がってきた。少なくても私よりはエネルギーを使っているのだから仕方のないところだろう。途中で出会っていたなら先頭を交代していたのだが、少し早い下山は残念だった。安足山への距離は既に半分は過ぎており、後は少しでも頂上へ近づくべく真っ直ぐにルートを取る。体力的には遥かに私の上を行くIkkoさんだが、やはりこの時期でのスノーシューとスキーでは機能的に差があるようで、終始遅れ気味となっている。

安足山頂上のラクダ? 火の鳥? と「金麦」

 頂上までの距離は500〜600m、安足山への登りに入ったが登っている感じがまるでない。樹林帯の先に斜面が見え、やっと山かと思える感じ。いよいよ頂上が近づいたようである。少し手前には除雪されていない広い林道が通っており、無雪期であれば車でも簡単にここまで来ることが出来るようだ。斜面とはいってもほんのわずか、安足山の頂上となる。GPSがそう示しているから納得できるので、どこか山麓の森の中とでも言われれば、全くそんな感じである。この日の3山の中では一番頂上らしくない雰囲気で、少しがっかり。だが、この雪面の下には一等三角点「安足山」が埋まっているとのこと。設置当時は付近の樹木は切り倒されていただろうから、それなりの視界が得られていたのだろう。  

 「ラクダがいる!」Ikkoさんの声に振り返ると、確かにコブのあるモンスターが頂上の守り神でもあるかのようにその姿を現していた。ただ、私にはどこか手塚治虫の漫画「火の鳥」のようにも見えてくる。遠い距離をやって来て、やっとたどり着いた平凡な光景には、何となくこのモンスターが頂上到着の充実感を満たしてくれる存在であった。さて、後は先行者と同様に林道へと下って車を置いた地点へと戻るだけ。林道への下りは立派に安足山と思わせてくれる快適な滑りで、この日の山行のフィナーレを飾る。 ラッキー続きだったこの日、終わってみれば当初の計画に東山という“おまけ”まで付く予想外の一日となった。(2015.1.25)

安足山からの下降は快適
安足山からの下降は快適

参考コースタイム】  林道分岐 P 8:50  東山頂上 10:00  月見山頂上 11:10 → 安足山頂上 13:00 → 、〃 発 13:20 → 林道分岐 P 14:50 (登山時間 5時間40分)

メンバーIkkoさん、saijyo

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