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 赤岩山(371.1m)

東赤岩・ピナクルから見る赤岩山

1/25000地形図小樽西部

赤岩峠で山行?に備える
人気の東赤岩塔群
ダブルバンドで確保のmarboさん
ビナクルで確保のチロロ3(旧姓naga)さん
山行の最後はやはり「藪」・・・頂上近し!
赤岩山三角点を囲んで、この日も無事終了

北海道の岩登りのメッカといえばやはり小樽赤岩山で、道央圏の岳人の多くが最初に岩を体験する場となっている。山に雪が消え、沢シーズンが始まるこの時期、垂直に登る意識とバランスをとりもどし、半年間のブランクを埋めようと、赤岩訓練を敢行する沢ヤも多い。赤岩は大きく分けて東、中、西と3つのブロックから成り、その中では東の岩塔群がアプローチの良さや容易さから人気を集めている。とりわけ、四段テラスやトリコニー岩が容易であり、この時期、順番待ちとなることもしばしばである。付近はニセコ小樽海岸国定公園のエリア内であり、エメラルドグリーンの海と荒々しい岩々とのコントラストや立体感は抜群で、多くのハイカーもこの「赤岩自然探勝路」を訪れている。我々が各岩塔へのアプローチとして利用しているこの歩道、赤岩観光道路の計画の中で昭和49年に完成されたもので、当初は観光用の自動車道路とする予定であったが、先に電電公社(NTT)が赤岩山までの取り付け道路を完成させてしまったため、騒音や排ガスのない自然探勝路へと変更したようである。いずれにせよ我々にとっては良い結果となったようだ。

大好き!Mt.Onne管理人のmarboさんから、岩訓練も兼ねて中赤岩から赤岩山野最高点へ登頂を…との誘いを受け、2年ぶりの赤岩へ入る。前日は峠にテン張って泊まることにする。以前に所属していた山岳会では近郊の岩や沢でもよく前泊していたが、新人ができるだけ早く山や仲間に慣れるようにとの考えからで、私も山岳会入会当時には、逸早く会の空気に馴染むきっかけとなった記憶がある。やはり時間的に余裕があり、頭の中もしっかり山モードで山行に臨むことができるところが良い。翌日、準備をしていると山岳会に所属していた時代の懐かしい面々が現れる。いつもの薮山山行では決してありえないことで、各山岳会における赤岩が持つ役割の重要さを感じさせられる。

この日は、まず東の岩塔群で軽く練習、午後からは中赤岩の各ルート〜赤岩山の山行という計画である。まず、トリコニー岩で懸垂下降の固定技術の練習(滝の懸垂下降でロープが絡まった時の対処法)から始まり、四段テラス、猫岩(ノーマル)、ピナクル(最後の1ピッチ)、東のチムニー(ノーマル)marboさんのリードにて各ルートを移動する。沢中では四段テラス程度のレベルでさえ登れないものと判断してしまうが、さすがにゲレンデともなると確保されている安心感があり、いとも簡単に登ってしまうものだ。6月とは思えぬ陽気にエゾハルゼミも今が時とばかりに鳴き狂っているかのようである。じりじりと照り付ける日差しに岩上で確保するmarboさんも大変そうだ。ふと見ると、積丹の山々はまだ残雪で白く輝いている。今だ雪が恋しい思いは残るが、そろそろ頭の中を夏バージョンに切り替えることにしよう。

熱の入った練習に、ついつい午前中一杯をつぎ込んでしまう。昼食後、いよいよ計画の実行である。一人のリードに4人が繋がって登るため、予想以上に多くの時間が費やされる。後の藪漕ぎを考えると、時間的には23ルートを登ってから赤岩山を目指すのが限界のようだ。最初はダブルバンド。見た目にはどってことのない感じであるが、登ってみると確保されていても意外に登れない。腕の力が入らないのが要因であるが、やはり午前中の訓練では腕の力のみで岩に張り付いていたようである。岩から離れ、足で登るのが基本であることは知っていたが、私に関していえば基本は守られていなかったようだ。しばし腕のみで体重を支えていたが、さすがに確保するmarboさんに一時休憩を申し出る。ロープに加重しホット一息。何ともなさけない話である。

エゾハルゼミはオーバーハングでも平気 エゾハルゼミには遠くおよばず・・

次は奥リス(ノーマル)。過去の経験ではどってことのないルートであったが、ここも難しそうだ。フリクションも腕力も信頼できない状況では難易度がかなり上がったようにさえ感じられる。要所要所でmarboさんに引っ張り上げられながらも何とか這い上がり、この日の登攀を終えて、ほっと一息である。さて、いよいよ薮への突入と思ったが、自然探勝路からの立派な歩道が現れ拍子抜けする。それでも途中からは方向が変わったため、念願?の藪への突入となるが、U級程度のレベル(普通の薮。手でかきわけて進める。見通しも悪くなく、不安はほとんど感じられない。行く手も良く見渡せる)である。しばらく藪歩きが続き、ふと横を見ると立派な歩道が平行して続いている。さすがに探勝路に出るが、休憩所も用意されていて、我々ハイカー?にとっては至れり尽くせりといった感じだ。それでも最後の200mほどは再び藪への突入となり、中継所のアンテナが林立する赤岩山の頂上に到着する。建造物が多く、車道まで付けられていてはおよそ山の頂上といった雰囲気ではない。ただし、目的の二等三角点は藪の中にひっそりと埋まっていて、ここだけはいつもの藪山風景となっている。付近にはウドやワラビが多く、小さなザック一杯に詰め込むメンバーの姿も見られる。

 登攀、藪漕ぎ、山菜と、普通の岩訓練とは一味違った山行の終わりは、林道ならぬNTT取り付け道路を下るいつもの下山風景である。日頃、つい岩を敬遠してしまう私として、沢シーズンが始まるこの時期の岩訓練が欠かせないものであることは重々承知している。しかし、なかなか食指が動かないのも事実である。そんな中、V〜W級のルートを率先してリードしてくれたmarboさんには感謝している。さて、今シーズン最初のウルシの洗礼を受け、いよいよ次からは沢本番である。(2007.6.10)

marboさんの山行記

【参考コースタイム】 赤岩峠P 620 → 東赤岩の訓練開始 6:40 → 峠にて昼食 1150 → 中赤岩へ 12:20 → ダブルバンド 13:25 → 奥リス終了 1535  → 赤岩山頂上 1625 赤岩峠P 1715 (行動時間 10時間55分・休憩時間を含む)

  【メンバーmarboさん、nagaさん、saijyo、チロロ2、チロロ3(旧姓naga)

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