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   愛奴山(311.0m)

 

1/25000地形図 「白頭山」

愛奴山ピークはすぐそこ Ikkoさんを先頭にGo !
愛奴山ピークはすぐそこ Ikkoさんを先頭にさあ!
mocoさんにとっては憧れの“あいどやま”三角点
林道奥まで入ったが、路面は最悪
天然の“砂防ダム” 自然とは面白いものだ
F2を見上げるmocoさん  憧れのピークはこの上

 愛奴山(あいぬやま)、北海道民であれば言わずと知れた名称を冠する山であるが、人気シンガーソングライターの浜田省吾がプロデビューした時のグループ名が「愛奴」(あいど)だったと、今回の参加メンバーであるmocoさんから聞いた。私から見れば実に北海道らしい山名であるが、見方によっては浜田省吾の山になってしまうから面白い。彼女は通称;浜省ファンで、この山には以前からこだわりがあったとのこと。だが、付近一帯はかの有名な「羆嵐」のエリアでもあって二の足を踏んでいたらしい。確かに、高だか300m程度の藪山であり、しかも籔漕を覚悟しての入山者は極めて少ないだろうと想像する。知っている限りではOgino氏のアイヌ川からの登頂記録くらいのもの。今回は大人数での1日2山計画、一番短いチエボツナイ川沿いの林道から登ることにした。

 チエボツナイ川へと向かう小川林道は昨冬に白頭山へのアプローチとして一度利用している。意外にしっかりとした林道で、車の走行には何の支障もなさそうな印象であった。今回は伐採作業をやっているようで、林道入口には木材が山積みされていた。林道はそのためか大型車両の通過でかなり荒れた様子、車高の低い乗用車では埋まってしまいそうな感じである。特にチエボツナイ川へと下ってしまった場合、帰りの登り返しが少々微妙なところだ。朝方の雨のために路面がぬかっていたことによる不安要因である。我々は予定通りに愛奴山の東面の直登沢出合付近まで車を乗り入れた。ここからの愛奴山はかなり近く、ひょっとしたら林道走行が核心部かもしれない、そんな冗談も飛び出す状況であった。

 踏み跡などあろうはずもないので、林道からは笹薮へと入りチエボツナイ川へと向かう。チエボツナイ川の水量は少なく、長靴でも十分な感じである。飛び出したところには一見砂防ダムのような段差があるが天然のもの。自然の造形とは実に面白いものである。ここからいきなり尾根に取り付く手もあるが、まずは正攻法で直登沢を進むことにする。沢の水量はかなり少ないが、籔が被っていない分だけ思いのほか順調に上流へと向かう。だが、川底がぬるぬるしていてスパイク長靴ではけっこう滑る。竹や枯れたイタドリ等につかまりながら慎重に歩くに限る。

 コンタ220mで予想もしてなかった滝、F1が現れた。高さ3m程度だが取っ掛かり無しの垂直で、左岸側から巻いて滝上へと抜ける。さらにそのすぐ先で、今度は5mの似たような滝が現れる。ここも左岸側から巻くことにするが、そのまま尾根まで行っても大差はないように思われた。だが、見た目では藪漕ぎよりは沢筋に分がある。F2を過ぎると二股で、どちらを取っても愛奴山は近い。とりあえずは右股へと入り、最後は背の低い笹を漕いで頂上となる。

山遊人さん手製の頂上標識と黒ラベル
「浜田省吾大辞典」 これには浜田省吾の全てが載っている。愛奴も…

 期待した眺望はほとんどないが、全員満足のようである。やはりアプローチの林道が嫌らしかったこともあって余計に遠く感じられたためか、短時間のわりにはそれなりに充実感がある。mocoさんにとっては憧れの愛奴(ど)山で、三等三角点「愛奴沢」の回りの枯葉を丁寧に取り除いている様子が何とも印象的だった。mocoさん曰くは「愛の奴隷」ではなく「愛する奴ら」で、間違う連中が多いとのこと。一方、同行の山遊人さんは、この山で記念の300山目を達成したらしい。自らマジックで頂上標識を作成、みんなで記念撮影の後は畳んでザックの中へ。何とも地味な300山目である。帰路は滝の下降や滑る沢底を考え、尾根筋を忠実にチエボツナイ川まで下ることにする。笹薮の下降だが、さほど濃くもなく、約40分で難なくチエボツナイ川へと出る。終わってみればわずか2時間の山行であった。

 mocoさんが若かった頃は「浜省」のおっかけをやっていたそうだが、私にはその心境がまるで解からない。ただ、1つ言えることは、私も若い頃から藪山ピークのとりこで、30年以上経た現在でもそのおっかけをやっている。おそらく、これは私が動ける限り続くだろう。しかも、最近ではどの山もみんな同じに見えてきた。なぜ、そんなつまらないものを追っかけてしまうのかは私にも解からないが、やはり自分にとってはそれが掛け値なしで楽しいからだと思っている。要はおっかけに余計な理由などは全く必要なしということだ。(2014.10.26)

mocoさんの山行記へ

参考コースタイム】  林道・直登沢出合 P 8:40  愛奴山頂上 9:35、〃 発 9:55 → 林道・直登沢出合 P 10:45 (登山時間 登り 55分、下り 50分)

メンバー】山遊人さん、mocoさん、Ikkoさん、saijyo、チロロ3(旧姓naga)

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