愛別・丸山(823.6m)
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1/25000地形図 「中愛別山」
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マッシュルームのような自然の造形 (Ikkoさん提供) |
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工事現場の駐車スペースに車を止める |
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頂上台地への斜面 |
愛別町の丸山は実に地味な山だった。山容はその名が示すように台地状で、いったいどこがピークなのかが判らない。しかも、人里離れた奥まったところに位置しており、高さも800m台と山域の中では低山の部類、およそこの山に魅力を感じる人間などいないだろうと思われた。丸山登頂を目指すケースとして、大体は付近の山々を登りつくし、登る山がなくなっての選択肢となるように思う。この山へは夏に林道を奥まで入って藪漕ぎでピークを踏むか、遠くても藪のない時期に道道からスキーあるいはスノーシューで長い距離を歩くかの選択となる。少々日が長くなったと感じられるこの時期、我々は後者を選び、この山と1日じっくりと付き合うことに決める。同行してくれるIkkoさんからメールにてこの山を選んだ件での質問が入る。メンバーの体調云々と答えはしたが、実のところは“そこに未踏のピークがあるから”が正直なところ。私も付近に未踏の山が少なくなってきたことによる苦肉の選択であった。
極寒のこの時期、歳のせいか屋根のあるところで休みたくなり、旭川勤労者山岳会の事務所にお世話になる。綺麗に整頓された暖かなマンションの一室、ついつい緊張感が失せたのか寝過ごしてしまう。いつもなら皆が目覚めるかなり前から一番に目覚めるチロロ2さんでさえ寝過ごしてしまったのだから、その快適さの程がうかがえる。
両岸の斜面が狭まり、取り付く予定の小尾根が近づく。積雪のためか沢は数m程の段差となっていて嫌らしい。右岸左岸と雪面のつながりを探しつつ上流部へと向かう。地形図上で取り付き地点の候補と考えていた3つの小尾根の一番上流側が登りやすそうだったが、実際に進んだ感じではそこまで沢形を進む方が大変で、1つ手前の尾根に取り付くことになる。地形図と実際の地形との感覚的な違いだろう。我々人間はせいぜい1〜2m程度の存在、地形図に表現されない少々の段差でさえ立派に障害となる。結果的には急傾斜とのことで敬遠していた真ん中の小尾根をトラバース気味に交わし、丸山本体とのつり尾根手前から稜線上へと入る。あとはその名が示す通りの広い地形となり、急斜面をひと登り。再び平らな樹林帯となり、残すは頂上台地のみとなる。さすがに、最後はそれなりの登りとなっていて、ジグを切りつつ踏ん張って丸山の頂上台地上へと飛び出す。晴れていれば崖山や於鬼頭岳あたりが確認できるであろうが、あいにくそれも靄の中。
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丸山頂上にて (チロロ3さん) | 工夫したつもりの金麦写真 …頂上にて |
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管理人も登場 (Ikkoさん提供) |
広々とした頂上部も樹林帯となっていて、ここが頂上といった明瞭な地形とはなっていない。ポケットに閉っていたGPSを首に架けて三角点への距離を縮めて行く。200m、100mと頂上への距離が縮まるが、目だった地形の変化もなく、結局はどこにでもある樹林帯の雪面上でその距離1.6m、頂上到着となる。このGPSは数ヶ月前に購入したGPS衛星「みちびき」に対応した優れもの。地形図入りで36000円というのが良い。自分が立つ半径2m以内に三角点が埋まっているのは既に何度か経験済み。積雪量は1mほどで、三等三角点「丸山」を探し出すには「点の記」でも持参していなければ無理というもの。持ってきた「金麦」をここぞと思われる雪面に立て、早速いつもの一枚。せめても背景だけは頂上らしくと工夫を凝らす。
さて、下りである。スノーシュー派のIkkoさんとの白頭山以来の第二戦。Ikkoさんとの前夜のスキーVSスノーシュー談義ではIkkoさんも利用しているGPSやゴアのオーバーヤッケを引き合いに出して話を有利に進めていた。下山準備に手間取る私とチロロ3さん、当然のことスキー派コンビは余裕で「Ikkoさん、お先にどうぞ!」と彼を見送る。次にチロロ3さんを見送って一服、5分ほど送れて下山開始とする。頂上台地上では快調にスキーを滑らせ、急斜面に入るとIkkoさんの鈴の音が迫る。捉えた!と思ったが、彼の気配を感じたのはここまでだった。その後は沢地形の通過に手こずる我々を尻目に次々と現れるのはスノーシューの足跡ばかり、林道のポイントでは雪だるまのような自然の造形に描かれたスマイルフェイスと通過時間、見れば13時15分とのこと。チロロ3さんに時間を尋ねたところ13時29分、残念ながら勝負あり… ふと気が付くと背後には丸山全体が感動的に姿を現していた。ザックから自慢のEOSを取り出してこれを撮影、考えてみれば男というのはついつい変なことに頑張りたくなる妙な生き物だと反省する。車に到着時、なぜか満面の笑顔で我々を迎える待機組のチロロ2さん、日頃からのスキーという道具への恨みつらみだろう。地吹雪模様で時折視界が利かなくなる協和温泉からの帰り道、それでも私の中で地球は動いていた。(2014.01.26)
【メンバー】Ikkoさん、saijyo、チロロ3(旧姓naga)さん、チロロ2さん(途中まで)