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      793m峰(793m)〜石勝樹海ロード

樹海ロード車窓から793m峰を望む

1/25000地形図

名石駐車場に車を停める

近年、我々登山者がアプローチとして利用する機会が多くなった国道のNo.1は、おそらく274号線(札幌・標茶線)であろう。通称・石勝樹海ロードと呼ばれるこの国道、田園地帯の長沼町を直線で通過し、馬追丘陵から夕張へ入り、北海道の背骨に当たる山岳地帯へと続く。田園と山岳といった好対照な景観を一度に味わうことができる贅沢なドライブルートであり、道央と道東を結ぶ幹線ともなっている。道路地図や地形図に登場する北日高や東大雪・南部の山々へ行く時には、必ずと言ってもよいほどここを通過するが、何度も通っているうちに、車窓に映る山々の中には気になるピークがいくつも見えてくるものである。その中で私がずっと気になっていたピークが穂高トンネルと日高トンネルの間に位置する793m峰で、見る角度によってはかなり尖がった感じにも見える山である。国道からは山腹に集材路が刻まれている様子がよく見え、頂上へは容易に到達できそうで、どこかの山の帰りにでもいつかは立ち寄ってみたいと考えていた。

気になる793m峰、残念ながらピークは見えず

けるとまず目的の山が目に飛び込んでくる。やはり付近では最も目立つ山であり、頭の中であれこれ登頂作戦を駆け巡らす。山に一番近そうなパーキングエリアに車を停め、さて写真をと思ったが、カメラや財布、さらには携帯電話といった貴重品を入れた袋が見つからず、夕張・紅葉山のセーコーマートに忘れてきたことに気付く。後で思ったが、これから仮にも山へ向かおうかという時に、何とも緊張感の欠如した話であった。自分の携帯へしつこく電話を入れたところ上手い具合につながり、同店で預かってくれているとのことで一安心、辛うじて山行の続行とする。雨模様の天候と相談の上、重機が見える山腹まではとりあえず登ってみることにする。200mほど歩くと治山事業のための工事現場入口となり、道路が山腹へと続いていて、スタートとしては上々である。

作業道路は重機のキャタピラ等の跡でどろどろであるが、この時期には欠かせないスパイク長靴を履いてきたため、あまり気にはならない。急斜面のブル道を進んで行くうちに重機が数台置かれた終点となる。付近の環境調査のためか、冬枯れてわりと薄くなった薮の中へピンクテープが点々と続いている。踏み跡が続いているようにも見えるため、進んでみるが、直ぐに薮の中に消えてしまう。背の低い笹薮の急斜面を登りきると頂上へ続く尾根上となり、しばらくは薄い薮が続き楽勝かと思えたが、再び傾斜が増し本格的な薮漕ぎとなる。薄っすら雪が被る笹を掻き分けながら急斜面を登りきると、国道からも見えていた集材路に飛び出す。現在も使われているものと思っていたが、予想に反しオオイタドリの枯れて茶色になった背丈以上の茎が林立していて、夏であればかなり鬱蒼としている感じである。立派な角を持った牡鹿がこちらの気配を感じたのか一目散に逃げて行く。想像していた状況とは全く違い、実に野趣豊かな雰囲気である。我々は枯れたオオイタドリの隙間を縫うように上部へと九十九を返して行く。途中何度か、集材路跡が斜面に消えてしまうが、薮漕ぎで直登すると次の集材路跡が現れるといった具合である。結局、頂上のかなり近いところまでは同様の感じが続き、最後は崩壊地となっているが、それより先の集材路跡はどうなっているものやら確認はできない。

頂上に到着

崩壊地からの頂上は岩峰に樹木が纏わり付いているようにも見える。正面は崖となっていて突破は少々厳しそうで、左側の潅木がある斜面から取り付くが、ここも長靴では登るのが精一杯といったところだ。下降は別の斜面を選ぶこととして、潅木につかまって何とかここを登りきると意外にあっけなく頂上に飛び出す。樹木に覆われ、良好な展望は望めないが、晴れていれば木々の間からはそれなりの展望は望めそうだ。頂上は狭く、細い稜線が続いている。ガスがかかって小雨がちらつく天候では、遠くに聞こえる雷鳴が気になるところだ。目的を達成した以上、本格的な降りにならないうちに下山した方が良さそうである。結局、いくぶん傾斜の緩い反対側の斜面を下って、崩壊地を通過、登って来た地点へと下る。

下る時には登りでは見えないルートが見えてくるもので、斜面に消えたはずの集材路跡が崖崩れによって寸断されていたことが確認できる。長い年月のうちに草木が覆ってしまい、他の斜面との見分けが付きづらくなっているようだ。集材路跡はさらに続いているため、やがては林道へ続くものと考え、帰りはそのまま辿ってみることにするが、これが失敗であった。地形が明瞭なうちはよいが、平坦地を通過する辺りではただの薮との見分けがつかなくなり、引き返そうと思った時には全く判らなくなってしまった。樹海ロードを通過する大型車の音に、そのまま薮を漕いでの下山を決行するが、左右とも深い大きな谷形が入り込んだ地形となり、そのまま進むには沢への下降も考えなければならないようだ。終いには地形の関係か、頼りとする車の音も聞こえなくなり、さすがに焦りを感じる。登る途中でGPSに何気なくウエイトポイントを入れたことを思い出し、ザックに仕舞い込んでいたGPSを取り出し、非常用に持ち歩いていた無線機の電池と入れ替え、スイッチを入れる。ポイントまでは750mの表示、この距離を詰めることを目標に、とにかく引き返す方が無難なようだ。

今回の失敗の原因として、地形図を仕舞い込んでいたことが挙げられる。雨天ということもあり、地形図を濡らしたくなかったということと、集材路跡を辿っているから大丈夫といった安易さがあったように思う。全体を通して言えることは、やはり最初から緊張感がなかったことが最大の敗因であろう。ポイントへの距離を詰めて行くうちに300mほど縮まった地点で、もと来た集材路跡が現れる。(2007.11.11)

参考コースタイはデジカメをコンビにに忘れたため、記録なし。写真はチロロ2さんの携帯にて撮影したが、撮影時間が記録されていなかった。  (上り約1時間30分、下り約3時間・迷った時間も含む)

  【メンバーsaijyo、チロロ2

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