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鷹泊654mピーク「鷹巣山・鷹泊山」(653.6m)  

/25000地形図 「沼 牛」「江丹別」

江丹別峠に車を置く
今シーズン初のスキーにて峠を後にする

山の正しい名前とはいったい何だろう? いつも考えさせられることだが、大抵の場合は1/25000地形図に載っている山名が正しい名称として定着していることが多い。そう考えると、明らかに間違った表記となっている山名は誤解を招きかねないので、迅速に対応すべきである。一方、日高の1839m峰のように実際の標高が1842mであるにもかかわらず、長く岳人の間でそう呼ばれていたために地形図に新規に山名として登場した心にくい例もある。地元で昔から呼ばれていた山名は特に問題がない限り、それが正しいとされるべきである。ただし、山頂が行政区の境界上にある山では事情が少々複雑だ。特に地味な山の場合、両側の地域ではそれぞれに自分の地域の名で山名としている例が多いからで、今回訪れた三等三角点「鷹泊」が埋まる653.6mピークの場合もそれに該当する。

Oginoさんから送られてきた資料

江丹別側では古くから鷹巣山(町名は鷹栖)の名で呼ばれていたそうだが、頂上に取り付けられた標識には「鷹泊山」と書かれていた。地元でしか知らないような山名が数多く登場する「新深川市史」を調べてみたが、鷹泊山の名は見られなかった。そう呼ばれるようになったのは、そんなに古い話ではないのかもしれない。一方、江丹別の現在の行政区は旭川市だが、以前は旧鷹栖村の村域だったようで、大正13年の三村分割によって江丹別村となっている。旧鷹栖村の時代、村のエリアの最高地点ということもあって、この名で呼ばれていたようである。鷹栖町の郷土誌「たかすの自然オサラッペ慕情」(昭和57年発行)にはウフイシリ山脈(意味は不明)の最高地点として鷹巣山の名が登場している。もっとも、同誌には鷹泊側では鷹泊山と呼ばれているとも書かれているので、東西で別の顔を持った山ということになる。

この山へのルートとしては幌加内峠からと、それよりも200mほど高い江丹別峠からの二つが考えられるが、この山に誘ってくれた旭川・Oginoさんの話では江丹別峠からではもの足りないとのこと。となれば、幌加内峠からの計画として峠で待ち合わせることにする。ところが、幌加内峠はトンネルの開通によって立ち入れなくなっていた。距離的にはいくらもないが、江丹別峠からであれば時間が許せば一等三角点の埋まる冬路山登頂をも視野に入れることができる。協議の結果、江丹別峠からのルートに決まる。(一日一山が良いと考える私が下手に欲を出しても結果は正直なもので、冬路山へは1/3ほどの行程で時間切れとなった)

江丹別峠にはしっかりとした駐車スペースもあり、今シーズンでは初めてのスキーを付けて峠を後にする。笹は所々で飛び出していて完全な冬山風景とまでは行かない。ただし、先々週までの冬迫る追い詰められたような風景よりはかえってすっきりとしていて気持が良い。何よりも、白銀の凍てついた景観は新鮮で身も心も引き締まる思いである。容易なルートといっても久々のラッセルでは直ぐにオーバーヤッケもいらないほど温まる。それだけ、無雪期の山行に比べて負荷がかかるということだろう。薄っすら青空が覗いているが、周りの山々は見えない。特に楽しみにしていた鷹泊・坊主山が見えないのは何とも残念だ。

掘り出した三等三角点「鷹泊」
頂上まであと一息 三角点を探して雪面を掘る (Oginoさん提供)

ほとんど登りらしい登りもないまま、ゆっくり標高を上げて頂上に到着する。疎林帯の少し小高くなったところで、サトマサさんのページで見た白樺が一直線となった光景を見る。ちょうど、頂上から頂上標識がかかる樹木の方向を見ると背後に続く白樺が一直線になっていた。わざわざここに植林したわけでもないだろうから、おそらくは刈り残したものだろう。Oginoさんによれば、ここから伊納山へと続く稜線上の数箇所で同じような一直線を見たとのこと。何の目的でやったものなのかは判らないが、同様の例は私も道東の喜登牛山で見ている。この時は標石に向かって放射状に真っ直ぐ樹木を残していたのを記憶している。

さて、いよいよ三角点探しである。頂上に到着していることは当然判っていることだが、できれば三角点をこの眼で確かめたいのも人情。ここのところメンバーに先をこされて連敗続きとなっている私としてはこの日は秘策で臨んでいた。ポチならぬ「点の記」を印刷して持参、回りの樹木からの距離をしっかり測って、雪の中からここ掘れワンワンで三角点を探り当てる作戦である。平成16年に現況調査が行われたようで、目印となる樹木からの距離の情報は新しい。そんなことでスキーを使って2本の白樺と1本のナラの木からのだいたいの距離を測って雪面を掘ってみる。最初、私のスコップが硬いものに当たり、やったと思ったが、結果的にはただの石ころだった。だが、すぐ横で雪面を掘っていたOginoさんのスコップが再び硬いものを捉えた。アッ…と思ったが後の祭りである。丁寧に手で取り除かれた雪の中からは三等三角点「鷹泊」が潅木の枝とともに顔をのぞかせていた。雪面から約50pのところだった。欲張り爺さんには現代でも石ころしか出てこないということだ。(2010.12.19)

参考コースタイ 江丹別峠P 9:05 → 654mピーク頂上 10:10 、〃 発 10:45 江丹別峠P 11:15 ( 登り 1時間5分、下り 30分  )

メンバー】 Oginoさん、saijyo、チロロ2

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